途上国への農業援助を見直せ
―― 飢えに苦しむ人々を救うには
2009年7月号
(経済成長に伴う)アジアの食糧需要増、長期に及んだオーストラリアでの干ばつ、一次産品を対象とする投機、エネルギー価格の高騰および穀物がバイオ燃料の原料として転用されたことなど、2008年に穀物価格がこの数十年でもっとも上昇した背景にはさまざまな要因が重なり合っていた。その後、多くの穀物や食糧価格は低下したが、世界の貧困地域ではいまも多くの人々が十分な食糧を確保できずにいる。……国際社会は、飢えや栄養失調に派生する疾病が世界の公衆衛生にとっていまや最大の脅威であり、AIDS、マラリア、結核の犠牲者総数を上回る規模の人々を死に追いやっていることを忘れている。……金融危機のなか、この問題に目を背けることは簡単だが、その帰結は甚大なものになる。