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論文データベース(最新論文順)

国家資本主義の台頭と市場経済の終わり?

2009年6月号

イアン・ブレマー ユーラシア・グループ会長

グローバルな金融危機にもかかわらず、国営石油企業が依然として世界でもっとも戦略性の高い資源の75%を支配し、国有企業そして政府の後ろ盾を持つ民間の覇権企業が、民間のライバル企業に対する競争上の優位を持っている。しかも、政府系ファンドは依然として潤沢な資金を持っている。本当に大きすぎて潰せないのはこれらの企業や組織のほうだろう。いまや市場経済の勢いは弱まり、国と政府が主要な経済アクターとして、主に政治的利益のために市場を利用しようとする「国家資本主義」が台頭し始めている。(冷戦期のような)政治的イデオロギーではなく、「市場経済」と「国家資本主義」という2つの経済モデルをめぐるグローバルな抗争という構図が生まれつつある。しかも、グローバルな金融危機とリセッションによって、「国が管理する資本主義」という強力なブランドが突きつける問題と課題はますます大きくなってきている。

CFRインタビュー
現状はインフルエンザ・パンデミックに向けた
第一波に過ぎない??

2009年6月号

マイケル・T・オスタホルム ミネソタ大学・感染症研究対策センター(CIDRAP)ディレクター

現状で分かっていないのは、今後も人からの人への豚インフルエンザの感染が続くかどうかだ。過去のインフルエンザ・パンデミックをみると、例えば、1918年のパンデミック(スペイン風邪)の場合、4~5月に豚インフルエンザが第一波として猛威をふるった後、このウイルスは忽然と姿を消した。だが8月にはどこからともなくウイルスが出現して第2波が猛威をふるい始め、その結果、4千万から1億の人々が犠牲になっている。今回の豚インフルエンザがどのようなコースをたどるのか。(スペイン風邪のときのように)6~8週間で落ち着きをみせるが、それでもウイルスはなくならず、今年の夏、秋、冬に再び猛威を振るい出すのだろうか?その可能性は十分にある。…… もっとも重要なのは、間違いなくわかっていること、そして分かっていないことについて、人々に真実を語り続けることだ。
●邦訳文は4/25のCFRインタビューから

国家資本主義の台頭と市場経済の終わり

2009年6月号

イアン・ブレマー ユーラシア・グループ会長

グローバルな金融危機にもかかわらず、国営石油企業が依然として世界でもっとも戦略性の高い資源の75%を支配し、国有企業そして政府の後ろ盾を持つ民間の覇権企業が、民間のライバル企業に対する競争上の優位を持っている。しかも、政府系ファンドは依然として潤沢な資金を持っている。本当に大きすぎて潰せないのはこれらの企業や組織のほうだろう。いまや市場経済の勢いは弱まり、国と政府が主要な経済アクターとして、主に政治的利益のために市場を利用しようとする「国家資本主義」が台頭し始めている。(冷戦期のような)政治的イデオロギーではなく、「市場経済」と「国家資本主義」という2つの経済モデルをめぐるグローバルな抗争という構図が生まれつつある。しかも、グローバルな金融危機とリセッションによって、「国が管理する資本主義」という強力なブランドが突きつける問題と課題はますます大きくなってきている。

CFRインタビュー
国家存亡の危機にあるパキスタン
―台頭するジハード勢力

2009年6月

ブルース・リーデル ブルッキングス研究所セバン中東センター研究員

パキスタンでは(国境周辺の)いわゆる部族地域だけでなく、パンジャブ州やカラチを含むパキスタンの主要都市での武装ジハード集団が大きく台頭しており、いまやパキスタン国家の存続そのものが脅かされている。国家破綻が必然なわけでも、差し迫っているわけでもないが、いずれパキスタンにジハード国家が誕生する危険は十分にある。……これに加えて、アフガンのタリバーンがアフガン南部と東部を管理下に置くようになれば、アルカイダが活動できるパキスタン・アフガンにおける空間はますます広がりをみせることになる。

Classic Selection 2009
金融危機後に出現する世界の姿は
―世界を主導するのはアメリカ、中国、それとも・・・

2009年6月号

スピーカー
ジョセフ・ナイ/ハーバード大学教授
フィリップ・ゼリコー/バージニア大学教授
司会
リチャード・メドレー/メドレー・キャピタル・マネジメント

「G2という枠組みで今後を捉えるのは間違いだと思う……世界が日本に期待している役割を果たしていくことを東京は真剣に考えるようになった。……より大きなポイントは中国が経済成長のモデルを見直すかどうかだ。今回のリセッションを脱した後も中国がこれまで同様に輸出主導型の成長戦略をとり、経常黒字をますます積みましていくようなら、国際システムは再び大きな圧力にさらされる」。(J・ナイ)

「全般的に『イギリスからアメリカへ』というかつての構図が、いまや『アメリカから中国へ』という構図として再登場している。ポイントは、世界にバランスよく資本を振り分けるとともに、グローバル経済を刺激するような内需を作り出す役割を中国が引き受けるかどうかだ」。(P・ゼリコー)

ウクライナの安定こそ欧米の対ロシア関係の前提だ

2009年6月

エイドリアン・カラトニツキー/アトランティック・カウンシル シニア・フェロー
アレクサンダー・J・モティル/ラトガース大学教授

ヨーロッパとロシアの安定した関係には、ロシア近隣諸国における安定が必要になる。そして、これら近隣諸国の安定はウクライナという鍵を握る国が安定して初めて実現する。一方、強大化したロシアがウクライナを隷従させることに成功すれば、ヨーロッパとアメリカがモスクワとの協調関係を築くのは事実上不可能になる。このジレンマを解く上で最大の障害は「覇権的なロシアを事実上無条件で支持すれば、ヨーロッパは地政学的・経済的に穏やかな環境を維持できる」と独仏が考えていることだ。ロシアとウクライナのいずれかを優先し、一方をおろそかにするのは、壊滅的な事態を招き入れる処方箋に等しい。

中国は市場改革路線をすでに放棄している
―― GDP成長に取り憑かれ、改革を忘れた中国

2009年6月号

デレク・シザーズ ヘリテージ財団アジア経済担当リサーチ・フェロー

胡錦涛と温家宝は2002~2008年に、経済が停滞していなかったにも関わらず、国の経済への介入路線を強めていった。……市場改革の要である価格の自由化は部分的に覆されているし、当初から緩慢なペースでしか実行されていなかった民営化はすでに放棄されている。企業間の競争を促す構想も帳消しにされている。中国政府は、外国からの投資を制限し、輸出に課税することで、比較的開かれていた貿易部門への介入さえも強めつつある。中国で市場改革路線が放棄されたのは、一つには、指導層が他の全てを犠牲にしてでもGDPの成長を実現しようと試みているからだ。

金融制裁と銀行の役割
―金融でならず者国家を孤立させるには

2009年5月号

レイチェル・L・ロフラー 前米財務省グローバルアフェアーズ担当 副ディレクター

北朝鮮やイランを標的とするアメリカの最近の金融外交は、各国の政府だけでなく、民間の金融機関にも協力を求めるようになり、その結果、金融制裁はかなりの成果を挙げるようになった。ワシントンは要注意のブラックリストを公表し、各国の銀行はこのリストから疑わしい資産を突き止め、怪しげな取引を阻止し、問題のある個人や組織が世界の金融システムを悪用するのを食い止めようと試みている。銀行がこうした制裁措置に協力するのには訳がある。意図的ではなくても、「テロや核兵器の拡散に手を貸している」と新聞で報道されれば、そのブランドが大きく傷つき、ビジネス上の大きな痛手となるからだ。金融制裁は今後も問題国家に対する大きなツールになる。だが、脅威と金融システムが交錯するポイントを明確にせずに、安易に制裁措置を乱発すれば、金融措置を実施する主体である銀行側の協力を得られなくなる恐れがある。

CFRミーティング
「社会とつながった」
新しい資本主義と企業への変貌を
―新しい持続的成長の条件とは何か

2009年5月号

スピーカー ネビル・イスデル コカ・コーラ社会長兼CEO
司会 リー・カラム KERAテレビコメンテーター

 「今回の経済危機を前に、市民と政府は企業と市場の役割を見直し始めており、その議論の方向性が既にみえつつある。だが、ポピュリズムと保護主義の道を転げ落ち、貿易を阻害するような政策が取られるとすれば、経済の回復は遅れ、長期的な成長も停滞することになる。これが警告だ。一方課題とは、企業と社会の関係を再構築することだ。私は、企業の指導者がビジネスを再構築し、「社会とのつながりをもつ資本主義」を構築していくべきだと確信している。このような社会とのつながりを構築することが、21世紀において企業が持続可能な成長を確保する最善の方法だと私は信じている」 (ネビル・イスデル)。

フォーリン・アフェアーズ・コラム
対北朝鮮制裁を行い、金正日後に備えよ

2009年5月号

ビクター・チャ 前米国家安全保障会議アジア担当部長

「短期的には平壌のミサイル発射に対する制裁にむけた圧力をうまく作り出し、一方で、自由で民主的な統一朝鮮に備えた準備を長期的な観点から始める必要がある。……オバマ政権は北朝鮮を再度「テロ支援国家」にリストアップすることも検討すべきだし、金正日後の北朝鮮にどう対処していくかをめぐって中国、韓国との本格的な交渉を水面下で始め、北朝鮮が建設的な路線をとれば、その見返りに安全の保証と経済援助を与えるという取引を示すことで、(日本とともに)、潜在的な平壌の新指導層への接触を試みていくべきだろう」。

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