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論文データベース(最新論文順)

論争 グローバル経済危機は
いつまで続くのか
― 日米、二つの経済バブルを検証する

2009年7月号

ロバート・マッドセン……マサチューセッツ工科大学国際研究センター シニア・フェロー
リチャード・カッツ………オリエンタル・エコノミスト・レポート誌編集長

今回の金融危機の原因はアメリカででたらめな住宅ローンが組まれた結果なのか、それとも、中国その他の過剰貯蓄が米市場に流れこんでバブルを発生させたのか。犯人は行き過ぎた規制緩和なのか、それとも「グローバル・インバランス」なのか。今後のグローバル経済の中期予測、そして規制強化をめぐるグローバル金融改革の方向性は、危機を引き起こした原因を何とみなすかで大きく違ってくる。以下は、フォーリン・アフェアーズ・リポート4月号に掲載したリチャード・カッツの論文『アメリカは「日本の失われた10年」と同じ道をたどるのか』に対するロバート・マッドセンのコメントとカッツの再反論。

経済危機の長期化は避けられない
――市場経済モデルの衰退は地政学秩序をどう変えるか

2009年7月号

ロジャー・アルトマン 元米財務副長官(1993~1994)

「現在の経済危機は秩序を揺るがすグローバルな事件だ。世界経済の今後は全般的にきわめて憂鬱な状況にあり、状況を不安定化させるような深刻なリセッションが世界中を覆い尽くしている。しかも、この30年にわたって地球を席巻してきた市場経済資本主義、グローバル化、規制緩和というアングロ・サクソンモデルの時代が終わりつつある。・・・(今後を考える上で)重要なのは「深刻なグローバル・リセッションが長期化する」と考えられ、金融危機によって受けた大きなダメージゆえに世界の3大経済であるアメリカ、EU、日本が循環的な回復を遂げることはおそらくあり得ないこと、そして中国が明らかな勝者として台頭しつつあることだ」

CFRミーティング
4人の専門家が分析する
北朝鮮の核、権力継承、経済制裁、外交交渉の行方

2009年7月号

チャールズ・ファーガソン/米外交問題評議会シニア・フェロー
ポール・B・スターレス/米外交問題評議会シニア・フェロー兼予防行動センター・ディレクター
デビッド・C・カング/南カリフォルニア大学朝鮮半島研究所ディレクター
チャールズ・プリチャード/コリア経済研究所会長 北朝鮮問題担当米特使(2001~2003)

北朝鮮は、2006年10月に続いて、2009年5月25日にも核実験を行い、北東アジアの安定、そして国際的な核不拡散レジームを脅かしている。核実験が作り出した今回の危機は北朝鮮の政権の意図、核兵器の能力、権力継承プロセスが今もはっきりとせず、北朝鮮が制裁措置に対する複雑な盾をもっていること、そして、非核化に向けた多国間外交に制約があることなどの厄介な問題を再び浮上させている。以下は、4人の専門家による北朝鮮の今後に関する分析。

CFRインタビュー
イランで展開される劇的な権力ドラマの内幕
― ハメネイはムサビを受け入れるか

2009年7月号

カリム・サジャプアー カーネギー国際平和財団 アソシエーツ

「イランにおいて全ての判断を下しているのは最高指導者のハメネイだ。・・・しかしラフサンジャニが、反ハメネイの立場からコムの高位宗教指導者との連帯を組織しようとしているし、真の宗教的権威をもつモンタゼリも今回の選挙とハメネイの統治に公然と挑戦している。ハメネイは、その再選を政府が公表しているアフマディネジャド大統領を生け贄にするか、自分も船から降りるかどうかをいずれ決めなければならなくなる。ハメネイは非常に微妙な立場に立たされている。妥協しすぎれば、弱さの証しとみなされるだろうし、デモはますます拡大する。一方で、全く妥協しなければ、不正が行われたと広く考えられている選挙で再選された人気のない大統領を守るために自らも失脚してしまう危険に直面する」。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティグ・エディター)

CFRミーティング
金融危機の教訓
― ドルの暴落とインフレの危機がやってくる?

2009年7月号

スピーカー
ベン・ステイル 米外交問題評議会(CFR)シニア・フェロー(国際経済担当)
プレサイダー
セバスチャン・マラビー CFR地政経済学研究センター所長

「今回の(金融)危機の進展と政府の政策の余波は重なり合っている。たとえば、低所得世帯向けローン拡大策が、米投資銀行のレバレッジの拡大を招いた。・・・低所得世帯やマイノリティーの持ち家比率を上げることは政策の優先課題だった。ハイリスクローンの拡大を未然に防ごうとしても、おそらくそれを押さえ込もうとする政治的抵抗を受けていただろう。・・・いずれ米政府は自らが市場に吐き出した資金を吸い上げようと、最大1兆ドルの民間資産をあわただしく市場で投げ売りすることになるだろう。しかし、実際のFRBの行動は迅速性と積極性を欠くものになる可能性がある。そうなれば、米国債は大幅に下落し、長期金利の急上昇とドルの急落を招き、その半年後から1年後にはインフレ率が大幅に上昇することになる」。

「核のない世界」と核拡散という現実
――北朝鮮、イランと核不拡散

2009年7月号

スピーカー
 ウィリアム・ペリー
元米国務長官
ブレント・スコークロフト
元国家安全保障担当大統領補佐官
司会
ジャクソン・ディール
ワシントン・ポスト紙論説ページ副編集長

「核のない世界の実現にもっぱら焦点を合わせれば、戦争や危機を回避するという目的に目がいかなくなってしまう。・・・私に言わせれば、核兵器が存在しなかった時代とは、第一次世界大戦、第二次世界大戦に象徴される時代だ。核廃絶という目的にコミットする前に、それが何を意味するかをもっと具体的に検討する必要がある」。(B・スコークロフト)

「核のない世界を実現するという目的を表明し、それに取り組んでもイランや北朝鮮の行動を変えることはできないだろう。だが、イランや北朝鮮に対処していく上でその協力が必要な諸国の支持を得ることができる。だからこそ、核のない世界という目的は重要だし、私が核のない世界を支持しているのもこうした理由からだ」。(W・ペリー)

サウジとアメリカの複雑な関係
―特別な関係からノーマルな関係へ

2009年6月号

デビッド・オッタウェー ウッドロー・ウィルソンセンター  シニアスカラー

9・11以降の対テロ戦争を遂行するなか、アメリカはサウジを疑いの目で見るようになり、一方サウジの王族もいまやアメリカのことを「戦略不安を作りだす元凶」とみなし始めている。アメリカへの石油の安定供給とサウジの安全保障を取引したアメリカとサウジの「特別な関係」はすでに終わっている。中東和平に始まり、イラン、パキスタン、アフガニスタンにいたるまで、両国は重なりあう利益をもちつつも、一方ではっきりとした利害の衝突も抱えている。これまでのように「サウジはアメリカの意向を汲み、進んで支持してくれる」とワシントンが考えるのは無理がある。オバマ政権は両国の関係が先の読めない状況に入っていることを認識し、歩み寄れる案件をめぐって協調を重ねていくことで、9.11によって失われた信頼と自信を取り戻していく必要がある。

核の脅威を誇張するのは止めよ
―核の惨劇を回避できる見込みはかつてなく高まっている

2009年6月号

マイケル・クレポン ヘンリー・スチムソンセンター共同設立者 

今も世界は核の危険にさらされているが、脅威を削減するのに、脅威を過大視する必要はない。政治家と核不拡散の専門家が警告を発するのに、人々の危機意識をことさらに高める必要はない。国際政治において核を保有することの重要性と意味合いはかつてなく低下している。辛抱強く、一貫した外交を展開してきたことで、いまや核不拡散はグローバルな規範となり、これを受け入れていないのはごく一部の諸国に過ぎない。しかも、すべての安保理常任理事国、そしてインド、イスラエル、パキスタンは「核によるテロリズム」という共通の脅威に直面しており、この共通の脅威の存在が、核不拡散を試みていくための国際的協調基盤を提供している。

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