CFR Briefing
中央・南アジアにおける中国の地政学的思惑
2010年2月号

中央アジア諸国は地政学的な理由から、中国との関係を好ましく思っている。中央アジア諸国にしてみれば、この2~3世紀にわたってこの地域を支配してきた外部パワー、つまり、ロシアに対する対抗バランスとして中国を利用できるからだ。一方、中国は、新疆ウイグルの分離独立を押さえ込むために、中央アジア諸国と協調するとともに、この地域の経済交流・改革ネットワークの中枢に新疆ウイグル自治区を位置付けたいという思惑がある。南アジアはどうだろう。パキスタンの不安定化という懸念を北京がワシントンと共有しているとは思えない。中国は、パキスタンの国内動向については、それほど気にしていない。かたや、インドはその防衛計画の中枢をパキスタンから中国へと移しつつある。戦略抑止力の信頼性が議論され、核実験をもう一度行うべきか、包括的核実験禁止条約(CTBT)はこの観点からどのような意味合いをもつかが議論されている。中国のインド戦略も、インドだけでなく、新たな米印関係というファクターが持ちまれたことで、流動化している。・・・・