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論文データベース(最新論文順)

交渉学からみた
敵と交渉することの問題点と可能性

2009年11月号

ディーパック・モルホトラ  ハーバード・ビジネススクール准教授

敵対勢力との交渉に入ることに条件をつけたいという欲求の方が、相手との間に抱える懸案についての合理的な分析をし、微妙な論争を試みようとするインセンティブよりも大きい。このため、とかく政治的ご都合主義や単純な分析から交渉に入る条件が付けられてしまう。だが、このやり方は全くの逆効果で、実際には、交渉に入るための条件をまったくつけない方が、昨今におけるやり方、特にアメリカやイスラエルのやり方よりも外交交渉はうまく機能する。交渉を重視する賢明な外交政策も、交渉上の障害を可能な限り事前に取り除こうするあまり、逆に間違いを犯すことがある。安易に考案された交渉に入るための前提条件こそ、交渉による平和を勝ち取るための最大の障害となることが多い。

Review Essay
「神の訃報」を載せたエコノミスト誌記者が
読み解くグローバル時代の神

2009年11月号

ティモシー・サミュエル・シャー ボストン大学宗教・文化・世界情勢研究所上級研究員

アメリカの宗教指導者は、宗教を遠ざける普通の人々を非難するどころか、そうした人々の存在を布教のチャンスとみなした。彼らは、人々は罪のあがないの呼びかけに自由に個人的に応じることができると教えた。こうした指導者が標榜する神学は、常に揺れ動いているアメリカのような国にはぴったりだった。神への信仰を失い、変化する経済・社会環境を前に心のよりどころを求める人々をアメリカの宗教指導者はうまく取り込んできた。・・・

CFRインタビュー
IMFのグローバル経済への
影響力は高まるのか?

2009年11月号

エドウィン・トルーマン ピーターソン国際経済研究所シニアフェロー

IMFが各国のグローバル経済再生に向けた対策の監視と評価をするとしても、すべてはトリッキーだ。なにせ相手は主権国家だ。しかも、内需と外需のバランスに焦点をあて、為替レートにさえ口出しするとなると、スムーズにいくはずはない。大きな問題は、例えば、IMFが中国に対して「貴国の経常黒字が急速に増大している以上、より迅速に為替を適正なレベルへと向かせるべきだ」と言えるかどうか、そうして、アドバイスを受けた国がそれを聞き入れるかどうかだ。・・・これから半年後に監視と評価をめぐってIMFに何か言われたからといって、アメリカの大統領や財務長官が「わかった。IMFの言うとおりだ。早速予算を見直そう」と言うはずはない。

CFRブリーフィング
グローバル・インバランスがなくならない理由

2009年11月号

マーク・レビンソン 外交問題評議会国際ビジネス担当シニア・フェロー

「グローバル・インバランスを是正していくための具体的措置を支持するような政治基盤はいかなる国にも存在しない。・・・日本の鳩山由紀夫首相にとっても、グローバル・インバランスの是正とは、外国市場の需要の落ち込みで日本の製造業が苦しんでいるときに、さらに輸出の伸びを抑えなければならないことを意味する。・・・・世界の指導者はよりバランスのとれた世界経済の構造をつくりたいと願っているかもしれない。だが、その実現に向けて早急に措置を講じることはないだろう」。

CFRインタビュー
アメリカの需要に代わる
牽引車を世界は作り出せるのか

2009年11月号

スティーブン・デュナウェイ 外交問題評議会 国際経済担当非常勤フェロー

現在の経済トレンドを示す指標を見る限り、かなり、ゆっくりとしたペースの経済回復しか期待できないと思う。今回の世界経済の回復は、われわれがこれまでに知るものよりも、はるかにゆっくりとしたものになる。そして、今後10年間における最大の疑問は、「十分な需要を作り出すのが誰になるか」ということだ。これまでも長い間、グローバル・インバランスの問題は議論されてきたし、世界経済の構造を改善していくために各国がどのような政策をとればよいかが争点とされてきた。問題は、これらの政策の多くが短期的な痛みを伴う恐れがあり、それゆえに、政治的には魅力ある選択肢ではないことだ。

北朝鮮を変化させるには
――内からの変化を促す交流を

2009年11月号

アンドレイ・ランコフ 韓国国民大学歴史学准教授

交渉に入ることに合意し、段階的な譲歩に応じることで国際社会から援助を引き出し、その後、交渉から離脱して挑発行動を取り、より大きな見返りが期待できる状態になってから、再び交渉テーブルに戻る。北朝鮮の指導者は15年にわたってこのやり方を繰り返してきた。・・・援助なしでは生きていけない北朝鮮が援助を引き出すツールである核やミサイル開発プログラムを放棄することはあり得ない。認識すべきは、外からの圧力には効果がなく、変化は北朝鮮の内側からしか起こりえないということだ。必要なのは、アメリカと同盟国が、北朝鮮民衆に対して自分たちの生活とは違う、非常に魅力的な代替策が外の世界に存在するのを教えていくことだ。

CFRミーティング
インフレかデフレか、それとも・・・

2009年11月号

スピーカー  チャールズ・L・エバンス  シカゴ連邦準備銀行総裁
司会  アラン・S・ブラインダー  プリンストン大学経済学教授

銀行貸し出しが大幅に増えない限り、マネタリーベースの拡大そのものがインフレを誘発することはないし、現実には銀行貸し出しが大幅に増大するような事態には依然としてなっていない。・・・ただし、金融引き締め路線を志向していても、将来どこかの時点で中央銀行が政府の財政赤字を埋め合わせざるを得なくなると人々が考えるようになれば、実際のインフレと将来のインフレ期待は上昇する。・・・私自身は、大規模な資源ギャップ(高失業率と低い資本稼働率)が存在しているところに、マネーサプライの急拡大という事態が重なったと現状を理解している。(C・エバンス)

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