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論文データベース(最新論文順)

ドルとアメリカの赤字(後編)
―― 次なる危機を管理するには

2009年12月号

C・フレッド・バーグステン ピーターソン国際経済研究所ディレクター

アメリカが対外赤字を削減し、管理していこうと真剣に試みれば、アメリカに次ぐ3大経済大国である中国、日本、ドイツを含む諸国に大きな課題を不可避的に突きつけることになる。アメリカが世界経済における最後の買い手としての伝統的な役割を終えていくのであれば、経済成長を達成するために輸出の拡大に多くを依存してきたこれらの国々も、国内需要を急速に拡大していかなければならなくなるからだ。だが、このような世界経済の構造転換が実現すれば、グローバル経済の持続的成長が可能になるだけでなく、各国の経済成長もより安定したものになる。

ドルとアメリカの赤字 (前編)
――次なる危機を回避するには

2009年11月号

C・フレッド・バーグステン ピーターソン国際経済研究所ディレクター

諸外国がアメリカの大規模な財政赤字を(米国債の購入などを通して)ファイナンスし続けるとすれば、現在の危機をもたらした状況が再現され、金融メルトダウンのリスクが再び生じる。同時に、外国資金への需要がますます高まっていけば、いずれその構図は維持不能になり、2030年に到達するはるか前にドル価値は暴落し、ハード・ランディングという事態に直目する。幸運に恵まれて今後において危機を回避できたとしても、ますます多くの所得を対外債務の返済に充てなければならなくなり、アメリカ人の生活レベルは低下する。・・・すでにアメリカの運命は、中国だけでなく、日本、ロシア、そして数多くの産油国など、債権国の手に握られている。速やかに持続可能な経済ポジションへと立ち返り、その路線を維持していかない限り、経済、外交領域での政策上の自由も次第に損なわれていくだろう。

21世紀の核抑止力を考える
――抑止力への信頼性を再確立するには

2009年11月号

ケイル・A・リーバー/ジョージタウン大学准教授
ダリル・G・プレス/ダートマス・カレッジ准教授

アメリカの核戦力の削減ばかりを求め、敵の軍事基盤を攻撃する核能力を重視しない人々は、核武装国との間で通常(戦力)戦争が一度始まれば抑止力を維持していくのが難しくなることを理解していないようだ。攻撃をすれば間違いなく反撃されると敵が確信しなければ、信頼できる抑止力は形成できない。しかし、核保有国との通常戦争において、現状の核の路線や戦略では信頼できる抑止力は形成できない。アメリカが、潜在的な敵による核攻撃を抑止するには、アメリカの指導者が実際に行使できる、報復攻撃のための選択肢を準備しておくべきだ。

交渉学からみた
敵と交渉することの問題点と可能性

2009年11月号

ディーパック・モルホトラ  ハーバード・ビジネススクール准教授

敵対勢力との交渉に入ることに条件をつけたいという欲求の方が、相手との間に抱える懸案についての合理的な分析をし、微妙な論争を試みようとするインセンティブよりも大きい。このため、とかく政治的ご都合主義や単純な分析から交渉に入る条件が付けられてしまう。だが、このやり方は全くの逆効果で、実際には、交渉に入るための条件をまったくつけない方が、昨今におけるやり方、特にアメリカやイスラエルのやり方よりも外交交渉はうまく機能する。交渉を重視する賢明な外交政策も、交渉上の障害を可能な限り事前に取り除こうするあまり、逆に間違いを犯すことがある。安易に考案された交渉に入るための前提条件こそ、交渉による平和を勝ち取るための最大の障害となることが多い。

Review Essay
「神の訃報」を載せたエコノミスト誌記者が
読み解くグローバル時代の神

2009年11月号

ティモシー・サミュエル・シャー ボストン大学宗教・文化・世界情勢研究所上級研究員

アメリカの宗教指導者は、宗教を遠ざける普通の人々を非難するどころか、そうした人々の存在を布教のチャンスとみなした。彼らは、人々は罪のあがないの呼びかけに自由に個人的に応じることができると教えた。こうした指導者が標榜する神学は、常に揺れ動いているアメリカのような国にはぴったりだった。神への信仰を失い、変化する経済・社会環境を前に心のよりどころを求める人々をアメリカの宗教指導者はうまく取り込んできた。・・・

CFRインタビュー
IMFのグローバル経済への
影響力は高まるのか?

2009年11月号

エドウィン・トルーマン ピーターソン国際経済研究所シニアフェロー

IMFが各国のグローバル経済再生に向けた対策の監視と評価をするとしても、すべてはトリッキーだ。なにせ相手は主権国家だ。しかも、内需と外需のバランスに焦点をあて、為替レートにさえ口出しするとなると、スムーズにいくはずはない。大きな問題は、例えば、IMFが中国に対して「貴国の経常黒字が急速に増大している以上、より迅速に為替を適正なレベルへと向かせるべきだ」と言えるかどうか、そうして、アドバイスを受けた国がそれを聞き入れるかどうかだ。・・・これから半年後に監視と評価をめぐってIMFに何か言われたからといって、アメリカの大統領や財務長官が「わかった。IMFの言うとおりだ。早速予算を見直そう」と言うはずはない。

CFRブリーフィング
グローバル・インバランスがなくならない理由

2009年11月号

マーク・レビンソン 外交問題評議会国際ビジネス担当シニア・フェロー

「グローバル・インバランスを是正していくための具体的措置を支持するような政治基盤はいかなる国にも存在しない。・・・日本の鳩山由紀夫首相にとっても、グローバル・インバランスの是正とは、外国市場の需要の落ち込みで日本の製造業が苦しんでいるときに、さらに輸出の伸びを抑えなければならないことを意味する。・・・・世界の指導者はよりバランスのとれた世界経済の構造をつくりたいと願っているかもしれない。だが、その実現に向けて早急に措置を講じることはないだろう」。

CFRインタビュー
アメリカの需要に代わる
牽引車を世界は作り出せるのか

2009年11月号

スティーブン・デュナウェイ 外交問題評議会 国際経済担当非常勤フェロー

現在の経済トレンドを示す指標を見る限り、かなり、ゆっくりとしたペースの経済回復しか期待できないと思う。今回の世界経済の回復は、われわれがこれまでに知るものよりも、はるかにゆっくりとしたものになる。そして、今後10年間における最大の疑問は、「十分な需要を作り出すのが誰になるか」ということだ。これまでも長い間、グローバル・インバランスの問題は議論されてきたし、世界経済の構造を改善していくために各国がどのような政策をとればよいかが争点とされてきた。問題は、これらの政策の多くが短期的な痛みを伴う恐れがあり、それゆえに、政治的には魅力ある選択肢ではないことだ。

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