政府はより開放的なシステムへと移行していくのを助けるような政治的流れを抑え込んできた。流れを抑え込んできただけに(圧力は大きくなっており)、今後政治的危機が起きれば、それが急激な変革につながっていく可能性は高いと思う。(M・ペイ)
H5N1、H1N1への中国の対応に関する私の研究では、地方の公衆衛生当局は依然としてカバーアップ、情報操作、不作為という問題行動をとっている。(Y・ファン)
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政府はより開放的なシステムへと移行していくのを助けるような政治的流れを抑え込んできた。流れを抑え込んできただけに(圧力は大きくなっており)、今後政治的危機が起きれば、それが急激な変革につながっていく可能性は高いと思う。(M・ペイ)
H5N1、H1N1への中国の対応に関する私の研究では、地方の公衆衛生当局は依然としてカバーアップ、情報操作、不作為という問題行動をとっている。(Y・ファン)
2009年12月号
いまや東南アジアでもイスラム過激派が台頭している。その原因は何か。どこにテロの根っこがあるかを知りたいのなら、東南アジアのイスラム教徒たちが暮らす荒廃した村を見て回り、悪臭たちこめる大都市の裏通りに足を踏み入れる必要がある。そこに広がるのは、陰うつで絶望的な景色だ。玄関先や街角にたむろし、たばこをまわし吸いし、遠くを見つめるだけの若者たちがいる。アメリカが原理主義の宗教指導者に先駆けて説得すべきは、こうした未来に希望を持てない若者たちだ。テロの背景にある貧困や腐敗に目を向けないかぎり、軍事作戦を遂行するだけでは、東南アジアにおけるイスラム教徒の人心を勝ち取ることはできない。
2009年12月号
ロシアの指導層の多くは、今後の世界秩序は主権国家ならぬ主権帝国が勢力圏拡大を求めて競い合うことで規定されると考えている。だが、こうした見方は間違っているし、既にプーチンの超大国路線は破たんしている。21世紀において重要なのは、他を魅了する力であり、他を抑え込む力ではない。たしかに、今もロシアは近隣諸国や遠方の国に向けてパワーを振りかざすことはできるかもしれない。だが、世界的な大国だと主張する前に、その経済的影響力、技術力、そして社会的な魅力を高めるために大きな努力をする必要がある。かつては軍事力だった世界政治の「通貨」は既に入れ変わっている。帝国のノスタルジアにとらわれるのではなく、「現在の必要性を満たす外交を重視する近代国家」へとロシアは変ぼうする必要がある。
2009年12月号
残念なことだが、核を保有するか、核兵器を開発する能力を持っていればパワーと名声、そして保険策を手にできると多くの国が依然として考えている。・・・彼らが考えているのは軍備管理ではない。「核兵器を開発する必要があるか」という命題だ。・・・より状況を複雑にしているのは、・・・ウラン濃縮技術や再処理能力など、(核兵器そのものではなく)核開発に必要な能力を獲得するだけで十分だと各国が考えだしていることだ。・・・核廃絶を唱えるのは簡単だ。重要なのは、それに必要なシステムやレジームを考え、整備していくことだ。
2009年12月号
2009年12月号
連邦準備制度理事会のバーナンキ議長は、将来における経済危機を避けるには米中間の巨大なグローバル・インバランスの是正に直ちに取り組む必要があると警告し、米議会のメンバーの多くも、米中の不均衡は人民元が過小評価されていることが元凶だとみなし、人民元の切り上げが必要だと考えている。だが、スティーブン・ローチは、人民元が過小評価されていることを貿易問題の元凶とみなすのは間違っており、そうした見方は、政治的なまやかしの類にすぎないと言う。インバランスの是正に向けて中国の国内消費を刺激するには、社会保障制度を整備するように北京に働きかけるべきだと提言する同氏は、アメリカの失業率の上昇と低成長が続くなか、米議会が保護主義的な対中法案を成立させれば、ドル暴落のきっかけになりかねないと警告した。
2009年12月号
中央統制経済システムにおいて政府が銀行に資金を提供するように命じ、地方政府がインフラプロジェクトを通常予算の別枠で実施するとすれば、経済が数値上成長するのは当然のことだ。減税措置が導入され、それによって得た資金の使途が個人に委ねられるアメリカとは大違いだ。国家発展改革委員会(NDRC)がGDP成長の目盛りを8に合わせれば、8%の成長を手にできる。2009年前半のGDP成長率が7・1%、後半が9%に達すると思われるので、数字は奇跡のように8%の成長ということになる。だが・・・ (S・ローチ)
2009年12月号
急速な経済成長を遂げたトルコ政府は次第に欧米から距離を置き、独自の外交路線を取り始めている。イラクのクルド人勢力と接触し、中東での紛争や危機の仲介を手がけ、ロシアとの関係も強化している。イスラム系のエルドアン政権は、欧米に背を向け、イスラム世界の代弁者になることを望んでいるのだろうか。どちらの方向を目指すとしても、今後のトルコの運命を大きく左右するのは、(これまで大きな権勢を振るい政治に介入してきた)軍の動きではない。既に軍事クーデターの時代は終わっているのかもしれない。むしろ政府が内外のクルド人問題にどのような対策をとるかでトルコの今後は左右される。より広義には、憲法と古びた政治制度を刷新する必要がある。これこそ、近隣諸国とトルコの和解を達成する大きな第一歩になるはずだ。
2009年12月号