CFRアップデート
フクシマ後の世界の原子力産業
2011年4月号
2011年3月に東日本を巨大地震とツナミが襲った後、福島第一原子力発電所で事故が起き、再び原子炉の安全性に対する懸念が世界的に高まりつつある。スリーマイルやチェルノブイリでの原発事故以降、原子力産業はこの数十年にわたって衰退してきたが、ここにきて流れは大きく変わり、世界各地で原子炉の建設が進められている。だが、原子力発電の可能性に世界が注目するなかで起きた今回の事故によって、今後、原子力発電計画は厳格な再検証の対象とされていくだろう。問題は原発事故のリスクだけではない。建設コストが非常に高い上に、原子力の技術者の数も不足している。核廃棄物、そして核拡散リスクの問題もある。二酸化炭素を排出せずに電力生産ができるというプラスの側面と、これらのリスクをどう比較考量するか。2011年3月の「憂慮する科学者連盟(UCS)」の報告によれば、2010年だけでも、原発施設スタッフの訓練不足、間違った管理態勢、問題のある設計、そして問題を徹底的に調べる姿勢が欠けていたために、アメリカ国内で原発施設事故を引き起こしかねない14の「ニアミス」が起きている。
