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論文データベース(最新論文順)

クリーンエネルギーの研究・開発、実証実験を多国間で進めよ

2011年11月号

マイケル・レビ、エリザベス・C・エコノミー、シャノン・オニール、アダム・シーガル
4氏はいずれも米外交問題評議会のシニア・フェロー。 各氏の担当分野。専門は論文末の著者紹介を参照。

現状では、クリーンエネルギーはほぼいかなるケースにおいても化石燃料エネルギーよりもコストがかかる。例えば、中国では原子力発電は石炭よりも15〜70%も高く、陸上風力発電は石炭の2〜4倍、太陽光発電は5倍以上のコストがかかる。(莫大なコストを要する)クリーンエネルギー導入の資金リスクを減らし、価格が現在よりも安く、経済性のあるものにならない限り、クリーンエネルギー促進政策が、必要とされる規模とペースで進展することはあり得ない。経済性を高めて、コストを下げるには、クリーンエネルギーの世界市場を何としても誕生させる必要がある。だが、クリーンエネルギーへの投資が国家の競争力を高めることを目的とするゼロサム・ゲームと認識されている限り、国家は障壁をめぐらそうとし、世界市場は出現しない。各国の試行錯誤を緊密に連携させ、他国の成果の上に研究を積み重ねられるようにして、市場の形成と拡大を目指すべきだ。

CFRミーティング
衰退するメディアと興隆するメディア、違いはどこにあるのか

2011年1月号

スピーカー
クラーク・ホイト ブルームバーグニュース顧問
マーク・ホワイテカー NBCニュース上席副会長
司会
スコット・サイモン NPR(米公共ラジオ放送)ホスト

「ブルームバーグが提供するニュースと分析に、ユーザーがかなり高額なコストを支払っているのは、これらがビジネスに利用できる情報だからだ。近く立ち上げる「ブルームバーグ・ガバメント」は、何らかの形で政府とかかわる人々にニュースを提供することを目的にしている。市民を対象にした政府に関する一般情報はいまやある種の大衆消費財とみなされているが、「ブルームバーグ・ガバメント」にはかなりの需要がある」。(C・ホイト)

「新聞、メディア企業およびそのウェブサイトが問題に遭遇しているのは、広告だけに頼らざるを得ないような道を歩んでしまったことだ。広告だけでどうにかなると考え、消費者が必要とする情報サービスが何かという視点をないがしろにしてしまった」。(M・ホワイテカー)

メザニン集団の台頭
―― 国の内側から蝕まれる中東・南アジア諸国

2011年1月号

マイケル・クロフォード 英国際戦略研究所コンサルティング・シニアフェロー
ジャミ・ミスシック 元CIA副長官

レバノン、イラク、アフガニスタン、パキスタンでは、政府と民衆の間に割り込むようにメザニン(中二階)集団が台頭し、確固たる権力を確立しつつある。国に救いを求めても無駄だと考える人々はメザニン集団を血族集団のようにみなし、連帯を強めている。ヒズボラ、マフディ軍、タリバーン、アルカイダ、ラシュカレトイバなどの、メザニン集団は、社会サービスや治安を提供することで、民衆の忠誠を勝ち取り、政府にはできない形で人々を鼓舞する力をもっている。問題は、政府にこれらのメザニン集団を管理する力がなく、しかも、国際法でも、この集団が作り出す問題にうまく対処できないことだ。聖域を利用するメザニン集団は、トランスナショナルなテロの拠点とされているだけでなく、政府を不安定化させる力も持っている。状況を放置すれば、国際的な平和と安定に壊滅的なダメージがおよぶ恐れがある。

CFRインタビュー
ウィキリークスの今後の焦点は
―― 世界中の反体制派が危険にさらされる恐れがある

2011年1月号

ジョン・B・ベリンジャー
前国務省法律顧問外交問題評議会非常勤シニア・フェロー(国際法・国内法担当)

この10年間、外交官たちは、これまでのように情報を相手国政府の高官や中級官僚との公的なやりとりにばかり依存するのではなく、重要な情報を人権活動家、反体制派、政策面で反発している(抑圧)政権内の反政府派から入手するようになった。こうした文書には、中国の反体制派、中東の反体制派が自国の政府について何を言ったかが示されており、そこには個人名も示されている。・・・ より多くの情報が今後公開されると考えられている。中国や中東諸国のように人権概念を重視しない諸国は、文書に名前のある人物の一部を検挙し、弾圧するかもしれない。(J・ベリンジャー)
聞き手はバーナード・ガーズマン(cfr.orgのコンサルティング・エディタ-)

CFRミーティング
通貨戦争、資本管理、 そして国際通貨システムの未来

2011年1月号

スピーカー
ベン・ステイル 米外交問題評議会 国際経済担当シニア・フェロー
アラン・テイラー モルガン・スタンレー シニアアドバイザーアジャイ・シャー インド国立財政政策研究所教授
プレイサイダー
セバスチャン・マラビー 米外交問題評議会・地政経済学センター所長

ロバート・トリフィンが指摘したように、ドルが国際的な準備通貨とされる限り、ドルの世界への供給量が少なすぎても、多すぎても危機が作り出される。つまり、現在の通貨レジームそのものを変えない限り、二つの危機の間を揺れ動くことになる。残された選択肢は二つしかない。・・・・・(B・ステイル)

新興国が変動相場制を懸念し、大規模な外貨準備を積み増したのは、自国通貨建てで債券を発行する力がなかったからだ。・・・だが、いまや多くの新興国はそうした力を持つようになった。これは新興国が次第に途上国を卒業しつつあることを意味する。(A・テイラー)

新興国の外貨準備は危機に対処できるレベルを十分に超えている。特に2002年以降、外貨準備は(輸出に有利な為替を維持するための)重商主義路線の一部と化した。・・・現在われわれは、為替重商主義の時代にある。(A・シャー)

CFRインタビュー
ウィキリークスとインターネットの自由

2011年1月号

アダム・シーガル 米外交問題評議会シニア・フェロー(対テロ、国家安全保障担当)

インターネットの物理的構造は、依然として分散型で多様性に満ちている。この構造は、言論の自由や情報の拡散には適している。だが、より大きな問題がこれから表面化していくことになるだろう。インターネットは本質的にトランスナショナルな性格を持っているが、(ウェブ空間を提供する)企業は物理的なプレゼンスを持っており、(ウェブ上で問題行動が生じると)活動する国の政府によって処罰される。この領域は、まだうまく規制されていないし、概念化も進んでいない。この空間での規範やルールを作り出そうとする動きはある。グローバル・ネットワーク・イニシアティブ(GNI)は、ユーザーに公共空間におけるルールを正式に受け入れさせたいと考えている。・・・・・実際、ウィキリークス問題によって、国家と政府はこの空間でも積極的に活動せざるをえなくなったと判断し、いまや権限を確立しようとしており、一方で、サイバースペースの商業アクターは政府が指針を示すことを求めている。(A・シーガル)

CFRミーティング
アフガン撤退戦略の見直しを

2010年12月号

リチャード・アーミテージ / アーミテージ・インターナショナルL.C.

「カルザイ政権とのパートナーシップが不安定で、パキスタンとも部分的なパートナーシップしか結べていない以上、われわれは何度も同じことを繰り返して、異なる結果が出るのを期待してはならない。やり方を変える必要がある。・・・・さらに、ラシュカレトイバのことも忘れてはいけない。これまではカシミールを拠点にインドを攻撃してきた・・・ラシュカレトイバは、ハッカニ・ネットワーク同様に、インドだけでなくアメリカを敵視している。私があえてハッカニ・ネットワークについてここで述べたのは、今度、ムンバイタイプのテロが起きれば、インドは(パキスタンに対して)具体的な反撃に出ると考えるからだ。しかも、ラシュカレトイバはアルカイダの同盟勢力だ。アルカイダにとって、インドとパキスタンを戦わせることにどのような利点があるかを考えるべきだ」(R・アーミテージ)

新興国という無責任な利害共有者 ―― 時代は「協調なき、多極化」へ

2010年12月号

スチュワート・パトリック / 米外交問題評議会シニア・フェロー

アメリカのパワーが衰退していくにつれて、台頭する新興国は既存の制度を試し、弱め、改革して自分たちの目的に合致するように作り替えようと試み始めている。既存の大国と新興大国の間だけでなく、新興大国どうしの戦略的ライバル関係も高まりをみせている。各国が演じているゲームは一つではない。金融改革や対テロでは協調するかもしれないが、市場シェア、戦略資源、政治的影響力、軍事的優位をめぐっては競いあっている。問題は、アメリカを含む先進国が、パートナー、そしてライバルとしての二つの顔を持ち、国際社会での発言権を強化したいと望みながら、一方では自国を途上国と定義する新興諸国との関係をどのように管理していくかだ。新しい国家を制度に取り込む一方で、可能な限り、これまでの秩序を維持していくには、2世紀前のヨーロッパの大国間協調がそうだったように、常に綱渡りをしているような細かな配慮が必要になる。

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