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フクシマ原発に壊滅的ダメージを与えた地震とツナミは、世界における原子力エネルギーへの関心の高まりに一気に冷水を浴びせかけた。相対的に生産コストは高いが、二酸化炭素をほとんど排出しない点が評価されてきた原子力による電力生産も、フクシマでの原発危機をきっかけに、安全基準や危機管理対策への再検証が進められ、原発推進計画そのものが見直されつつある。ドイツは、7基の(旧式)原子炉を閉鎖しただけでなく、2020年まで他の原子炉の使用期間を延長する計画のすべてを凍結した。イタリアも原子力開発のモラトリアムを延長し、他のEU諸国も原子力発電計画の見直しを行っている。専門家のなかには、「原子力が危険なテクノロジーであることが再認識された以上、いくらその安全性をエネルギー政策の会議で説いたところで、人々は納得しない」と明確に指摘する者もいる。たしかに、よりすぐれた安全機能や冷却装置を備えている新型の原子炉なら、大気への放射能拡散を引き起こした問題の一部を回避できるかもしれないが、どの程度の耐震機能を持っているかという点では疑問が残る。しかも、原子力は放射能の拡散リスクに加えて、核廃棄物、核兵器拡散のリスクも伴う。だが、地球温暖化に配慮する必要もあるし、新興国の電力需要の増大も考慮しなければならない。今後当面は、ジョン・ダッチが指摘するように化石燃料から再生可能エネルギーへのつなぎエネルギーとして、天然ガス、とくに液化天然ガスが注目されるようになるのかもしれない。