ウクライナ戦争とグローバルサウス
―― 多極世界における途上国の立場
2023年6月号
インド、インドネシア、ブラジルからトルコ、ナイジェリア、南アフリカにいたるまで、世界の途上国の多くは、ウクライナ戦争を含めて、主要国との厄介ごとに巻き込まれるのを避け、将来への保険、リスクヘッジ策をとるようになった。物質的な譲歩を得るためだけでない。自らの地位を高めるためにリスクヘッジ策をとり、多極化を国際秩序における地位向上のチャンスとして前向きに捉えている。欧米は、グローバルサウスの主要国が北京やモスクワの政策に幻滅しつつあることが作り出す機会にもっと注目すべきだろう。主要途上国は、気候変動対策だけでなく、世界経済の混乱を阻止する上でも、中国の台頭やロシアの復権を管理していく上でも欠かせない存在だ。・・・