ウクライナ難民を支えるヨーロッパ
―― 人道的支援と難民疲れの間
2023年4月号
欧州連合(EU)は、ロシアによる侵攻直後の2022年3月上旬に、ウクライナ難民のためにEUの一時保護指令を発動した。これは、難民申請がなくても、ウクライナ難民に最長3年間、EU諸国で生活・労働する権利を認める措置で、現在、480万人以上のウクライナ人がEUの一時保護プログラムまたは同様のプログラムに登録している。これはウクライナ難民全体の60%に相当する。一方、米政府関係者によると、ロシア軍は2022年9月時点で最大160万人のウクライナ難民をロシア領に強制移住させている。強制移住は国際法では戦争犯罪だが、ロシアはその行為を人道的避難と位置づけている。専門家は、戦争が続き、ヨーロッパはエネルギー価格の高騰、住宅不足、雇用難、財政難に直面しているために、今後1年間で「難民疲れ」が進むのではないかと懸念している。すでに反移民感情の高まりもみられる。・・・