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論文データベース(最新論文順)

CFRインタビュー
エネルギー政策を考える

2011年7月号

マイケル・レビ 米外交問題評議会エネルギー環境問題担当シニアフェロー
シャーリー・アン・ジャクソン 前米原子力規制委員会・委員長
デール・ブライク 天然資源防衛評議会大気エネルギープログラムディレクター
ティモシー・J・リチャード GEエナジー国際エネルギー政策担当役員

エネルギーをめぐって何を重視するかに関する立場の違いは、事実や分析に基づく判断であるとともに、価値観にも左右される。賢明な指導者であれば、一つの包括的な優先順位へすべての人々の支持を集めようとするよりも、それぞれの立場に配慮した政策を模索するはずだ。(M・レビ)

大衆は短期的には一つのエネルギー資源に大きな関心を寄せるが、時間が経過するとともに関心は薄れ、持続的なコミットメントは失われる。このサイクルを打破しなければならない。(S・ジャクソン)

電力生産施設、ビル、さらには、家電その他の電力製品の使用効率を高めれば、現在と同じか、より快適な生活を維持する一方で、エネルギーコストを抑え、電力供給の信頼性を高め、雇用を創出し、汚染を低下させることができる。(D・ブライク)

CFRインタビュー
ユドヨノ大統領が語る
インドネシアの次なる改革アジェンダ

2011年7月号

スシロ・バンバン・ユドヨノ インドネシア大統領

新興市場国の仲間入りを果たしたインドネシアのGDP成長率はいまや6%に達している。G20のメンバーになり、2011年にはASEANの議長国にも選ばれた。すでにインドネシアの国際社会での地位は大きく向上している。だが、外国の投資家は、インフラがまだうまく整備されておらず、政治腐敗が横行していることなどを懸念して、インドネシアへの投資には必ずしも積極的ではない。ユドヨノ大統領自身、この点をはっきりと認識し、次のように述べている。「優れた統治構造を築き、政治腐敗と闘い、法的枠組みを強化し、法の支配を定着させなければならない」。・・・その上で「ビジネス環境が改善され、われわれの改革路線が評価されて、より多くの外国からの投資が舞い降りるようになることを期待している」。だが大きな懸案とされる政治腐敗の撲滅はなかなか進展していない。「150名を越える、官僚、大臣、議員、州知事、市長に法の裁きを受けさせているが、・・・・政治腐敗を撲滅するにはまだ多くの努力が必要だ」と大統領自身認め、「この問題に取り組んでいくのは非常に困難な課題だ」と、改革がまだ道半ばであることを認めた。

サイバー防衛の柔軟性とアクティブ・ディフェンス
――ペンタゴンの新サイバー戦略とは

2011年7月号

アダム・シーガル 米外交問題評議会・対テロ・国家安全保障担当シニアフェロー

米政府のネットワークをターゲットにした洗練されたサイバー攻撃に対する人々の懸念が高まるなか、ペンタゴンは7月中旬に「サイバー空間における作戦計画に関する新戦略」を発表した。だが、公開された戦略には目新しい部分はほとんどない。サイバー防衛面での同盟諸国との国際合意、国際協調、パートナーシップについてははっきりと指摘されているが、これらを別にすれば、新しい要素はない。ウィリアム・リン国防副長官が2010年9月にフォーリン・アフェアーズで発表した論文で、これらのほぼすべては指摘されていたし、そうでないものについては、事前にプレスリリースされていた。つまり、戦略をリリースしたのは「アメリカはサイバー空間を軍事化するのではないかという諸外国の懸念」を低下させることが大きな狙いだったようだ。これを別にすれば、サイバー攻撃を受けて劣化したコミュニケーション環境でも活動を継続する柔軟性を確保するという重要な概念が示されている。だが、「アクティブ・ディフェンス」という概念が、ハッカーにとっての攻撃コストを引き上げることになるかどうかは、わからない。・・・・

「カダフィを権力ポストから追放するというアメリカの政策目的」と「それを実現するために進んで何をするか」の間に大きなギャップが存在する。このため、アメリカ政府は大きな混乱に直面している。短期的には目的を引き下げて、状況を安定化させるしかない。停戦を強く求めるべきだし、これ以上多くの人命が失われないように手をつくす必要がある。このためなら、当面、カダフィが権力ポストに居座り続けるのを認め、この間、リビアが短期的に二つに分断されることになっても仕方がないだろう」(R・ハース)

朝鮮半島は依然として緊張している。北朝鮮は、早ければ2011年の夏にも3度目の核実験を実施する可能性があるし、韓国に対してさらに大きな攻撃をする恐れもある。北朝鮮は、「おとなしくしているかと思えば、次に挑発行動をとるというサイクル」で動いていることを忘れてはならない。一方、韓国では、チョンアン号事件、ヨンピョン島砲撃事件以降、政府だけでなく、市民も北朝鮮に対する強硬路線をとるように求めるようなった。すでに、韓国が核開発を試みるべきかどうかも議論の俎上(そじょう)に載せられている。独自に核開発を試みるべきか、あるいは、アメリカの戦術核の再配備を求めるかどうかをめぐって熱い論争が起きている。かたや北朝鮮はますます核兵器を維持していく路線を固めつつある。リビアでの事態の展開が、核兵器が必要だとみなす金正日の確信をいっそう強めていると考えられる。実際、リビアをNATOが空爆した後、北朝鮮政府は、リビアのケースは「核を解体すれば、いかに危険な事態に直面するかの具体例だ」と表明している。

ユーロとEUを救うには
――  「ハードな」ケインズ主義を導入せよ

2011年6月号

ヘンリー・ファレル ウッドロー・ウィルソン・センター フェロー
ジョン・クイッギン クイーンズランド大学オーストラリア研究委員会フェロー

危機に直面したユーロ経済を前に、ドイツはユーロ参加国にさらに厳格な歳出削減を制度化するように求め、2011年3月に各国は、ドイツ同様に、歳出削減措置を国内で法制化し、これを憲法に盛り込むことに合意した。だが、厳格な歳出削減措置は、ヨーロッパ経済に短期的なダメージを与えるだけでなく、長期的にはEUの政治基盤そのものを揺るがしかねない。いかなる政治制度も、有権者に経済の調整コストを繰り返し負担させながら正統性を維持していくことなどできないからだ。金本位制下の国家はまさしくこの轍を踏んで失敗した。厳格な歳出削減策で何とか債券市場を安定させることに成功しても、すでに損なわれているEUの政治的正統性がさらに損なわれれば、EUそのものが存続のリスクにさらされる。将来の経済危機のリスクを最小化し、経済危機に陥ったときに政治的に維持できない厳格な緊縮財政をとらないで済むような長期的な制度を導入するために、ヨーロッパは再びケインズに学ぶ必要がある。

中国の現状と米中関係
―― 外交強硬路線と国内での人権弾圧

2011年6月号

ジョン・ポムフレット
米外交問題評議会
中国担当非常勤シニアフェロー

新指導層への権力移行プロセスがすでに始まっていることと、おそらく関係があるかもしれないが、中国はなぜ2年ほど前から対外的な強硬路線に転じたのか、その理由はいまもはっきりしない。だが、その悪影響が北東アジアのパワーバランスを微妙に変化させている。北朝鮮がチョンアン号を撃沈したときも、ヨンピョン島を砲撃したときも、中国が北朝鮮の行動を批判しなかったために、中韓関係は大きく冷え込んでいるし、日本との関係、ベトナムとの関係も依然として緊張している。一方で、クリントン長官が批判したように、中国は国内での人権弾圧を強めている。次期国家主席と広くみなされている習近平は、年内にワシントンを訪問する予定だが、ナショナリズム志向が強いと警戒されている部分もある。米中の軍事関係も経済関係もスムーズとは言えない。・・・「米中関係はすばらしく良好になることは決してあり得ないが、崩壊することもない」という朱鎔基の発言は、いまも現実を言い当てている。

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