カダフィ後のリビア
―― 選挙を急げば再び内戦になる
2011年10月号
リビア国民評議会(NTC)のムスタファ・アブドルジャリル議長は、18カ月以内に新憲法を制定し、選挙を実施すべきだと表明している。だが、近代的国家制度の存在しないリビアでかくも早い段階で選挙を実施するのはどうみても無理がある。早期に選挙に踏み切れば、内戦へと時計の針を逆戻しにする可能性が大きい。国際社会が平和維持軍を現地に送り込み、武装勢力の動員・武装解除を進め、信頼できる権力分有合意と近代的な政治制度の構築を支援するのなら、早期の選挙実施に伴うリスクを大きく抑え込めるかもしれない。だが、国際社会が積極的に現地に介入するとは考えにくいし、制度が整備されておらず、武装勢力が数多く存在し、政治腐敗が蔓延するリビアでこの条件を満たすのは容易ではない。