シリアでの紛争が長期化するにつれて、一部のアラウィ派が政府に背を向け始めている兆候もある。だが、彼らのほとんどは依然としてアサド体制を守ろうと戦いを続けている。現体制によるこれまで、そして現在の残虐行為の報復として、いずれスンニ派の報復がバッシャール・アサドだけでなく、アラウィ派にも向けられることを恐れているからだ。こうした危機感に根ざすアラウィ派の体制への忠誠は歴史的なルーツをもっている。アラウィ派コミュニティは、歴史的にスンニ派による差別と殺りくの対象にされてきた。だが、バッシャール・アサド現大統領の父でアラウィ派のハフェズ・アサドが1970年に権力を掌握したことで流れは変化する。権力者であるハフェズはスンニ派の反乱を抑えるために過酷な弾圧策をとった。この段階でアラウィ派は犠牲者から加害者になった。・・・そして今、アラウィ派は実存的ジレンマに直面している。バッシャール・アサド政権が崩壊すれば、アラウィ派はかくも長期にわたって体制を支えてきたことの責任を問われる。一方でアサド体制に固執すれば、容赦のないスンニ派による報復のリスクを高めてしまう。・・・