CFR Interview
追い詰められたギリシャ
2012年5月号
ギリシャの有権者が緊縮財政よりも成長を重視する政党を選び、それでもEUとIMFから支援を確保するつもりなら、相手にもっと柔軟な態度を取ることを受け入れさせなければならない。これは、言ってみれば肝試しのようなものだ。
1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。
2012年5月号
ギリシャの有権者が緊縮財政よりも成長を重視する政党を選び、それでもEUとIMFから支援を確保するつもりなら、相手にもっと柔軟な態度を取ることを受け入れさせなければならない。これは、言ってみれば肝試しのようなものだ。
2012年5月号
ツイッターの機能は新しい関係を築くというより、むしろ、既存の関係を強めるところにあるようだ。実際、ある程度の距離を隔てた二人のツィッターユーザー間のつながりの可能性を予測する上でもっとも確度の高い判断材料となるのは、その二地域間を結ぶ航空フライト数の多さだ。言い換えれば、ツイッターはロンドンのユーザーと「遠いどこか」の誰かを結び付けるよりも、ニューヨークとロサンゼルスのユーザーを、より強く結び付けている。ツイッターのユーザー(とフォロワー)の多くは特定の地域内に集中している。現在の世界において国際的なつながりの重要性が増しているのは間違いないが、ツィッターのつながりは基本的にローカル色が強く、デジタル時代が到来するはるか前から存在するつながりを強化しているにすぎない。・・・世界はフラットではなく、いまもでこぼこしている。
アノニマスによる主な行動はDDoS攻撃、コンピュータから盗み出した公的文書の暴露、ウェブサイトの改変、そしてオフラインでの活動だ。しかし、一部の政府高官が考えるようにアノニマスの行動をテロ行為とみなしたり、メディアが示唆するように、彼らを社会悪とみなしたりするのは間違っている。もっと現実に目を向けるべきだ。彼らの目的はインターネットの自由を守り、権力者の権力乱用を告発することにある。その本質は抗議行動なのだ。アノニマスの攻撃対象の政治的な特性をみれば、彼らを純粋にサイバー空間における脅威とみなすのは明らかに間違っていることがわかる。現状追認の自己満足を揺るがして人々を覚醒させる程度の「市民的不服従」や抗議のための空間はインターネット上でも認められるべきだ。アノニマスは破壊・争乱行為と啓蒙行為の境目に身を置くことで、「大胆不敵なおとり」の役回りを演じている。この事実を認識できない政府や企業は、現代社会でもっとも活力にあふれ、血気盛んな集団を敵に回してしまうことになるだろう。
政府軍と反政府勢力がダマスカスでの最終決戦を選ぶか、それとも政府軍がアラウィ派の伝統的な拠点である沿海近くの山間部へと撤退していくかに関わらず、内戦が長期化し、社会の亀裂がますます深くなっていくのはもはや避けられない情勢にある。二つの勢力の軍事力が拮抗してくれば、内戦は通常戦争レベルの戦闘へと激化していく。すでにアラウィ派の民間人は自分たちの伝統的生活地域であるタルタスやラタキアなどシリアの沿海地域へと移動し始め、一方でこの地域のスンニ派やキリスト教徒は、トルコへと脱出しつつある。こうして、アラウィ派の「国家内国家」が事実上形作られつつある。問題は、その後、何が起きるかだ。・・・
増税や歳出削減をきっかけにフランスで何度も騒乱や暴動が起きていることを考えれば、右派・左派に関係なく、フランスの政治家がこの二つの措置の導入に二の足を踏むのは無理もない。しかし、より大胆な経済構造改革を実施しない限り、フランスは、ユーロ圏におけるより深刻な金融危機の引き金を新たに引いてしまう可能性がある。
風力やソーラーエネルギーが、近い将来に化石燃料にとって代わることはあり得ない。当面、再生可能エネルギーは、化石燃料による電力生産に取って代わるのではなく、それを補完する程度に終わる。だからといって、その開発をいま断念するのは間違っている。風力タービンとソーラーパネルの効率は高まり、価格も低下している。重要なのは、これまでのように補助金で再生可能エネルギーのポテンシャルを摘み取ってしまわないように、よりスマートな促進策をとり、市場の競争を最大化することだ。目的は風力タービンやソーラーパネルを多く設置することではない。電力を安価に便利に安全に、しかも持続的に供給することだ。この目的を実現する包括的なエネルギー政策の一部に風力・ソーラーエネルギー促進策を戦略的に位置づける必要がある。
2012年5月号
反グローバル化は形を変えつつも、フランスでは今も昔も大きなアジェンダだ。反グローバル化がすでに政治的主流派のアジェンダに組みこまれているために、大きく取り上げられないだけの話だ。多くのフランス人はグローバル経済からの恩恵を受けていないと考え、保護主義的措置の導入を求めている。そもそも、労働組合の組織率が低く、政治家の多くが民間での経験がないフランスでは、企業が悪いイメージでとらえられている。有権者はEUも否定的にとらえられ始めている。問題は、現実にはフランスが大きな恩恵をグローバル化から引き出していることだ。指導者たちは、フランスの経済成長にはグローバル化が不可欠であることを理解しているが、悲観主義に陥っている大衆をなだめつつ、貿易と投資の自由な流れを水面下で着実に促進していかなければならない状況に追い込まれている。グローバル化の犠牲になっているというイメージと、フランスの国際的な影響力の維持という二つをいかに和解させるかが、今後問われることになる。
2012年5月号
「中国人の多くは、アジアシフトに象徴される米軍の戦略再編をシンボリックなもの、見せかけの行動としかみていない。たしかに250人規模の海兵隊をオーストラリアに送り込んだかもしれないが、現実には国防予算を削減している。・・・・大統領選挙中に中国がとかくやり玉に挙げられることを、中国人は理解している。そして実際には、アメリカが直面している問題のルーツのほとんどは米国内にある。アメリカ経済は多くの問題を抱え込んでおり、これを説明するためのスケープゴートを必要としており、たまたま中国が生け贄にされているだけだ。・・・・新大統領が中国への政策を大きく見直すことはない。すでに両国の関係が非常に密接で、その利益も融合しているからだ。新大統領が中国への政策を見直せば、アメリカの経済と国益に大きなダメージがでる」
2012年5月号
どんな理由であっても有罪宣告を受けた者が選挙に出馬することは認められておらず、法に照らせば、選挙管理委員会によるシャーテルの出馬失格は合理的な判断だった。・・・同胞団はこの展開を当初から予測していた。・・・
2012年5月号
「ドグマ的、イデオロギー的な政党は、国の政治的・社会的な基本構造を破壊する恐れがある・・・イデオロギーに凝り固まった政策を掲げる政党は政府を行き詰らせて危機に陥れる」。右寄りへシフトした共和党を嘆いて、ミット・ロムニーの父で共和党穏健派だったジョージ・ロムニーはかつてこう警告した。そのドクマ的な保守主義を、自分の息子が受け入れ、アメリカ政治が極端な党派対立に陥っている現状を父ロムニーはどう思うだろうか。かつては豊かな発想力をもつ共和党穏健派が、共和党と民主党の妥協点を見出す役割を果たしてきた。だが、穏健派の消失とともに、その機能を現在の共和党は失っている。穏健派を失った共和党は「筋肉質の体はあっても頭を持たない」存在と化した。共和党保守政権は、有権者の費用負担を「小さな政府」レベルに抑える一方で、「大きな政府」を運営し、結局、財政破綻を招き入れてしまった。