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論文データベース(最新論文順)

Z・ブレジンスキーとの対話
――イラン抑止、ロシアの欧米化、 アジア外交の非軍事化を

2012年5月号

ズビグニュー・ブレジンスキー カーター政権大統領補佐官(国家安全保障問題担当)、サム・ファイスト CNN 副会長

われわれがかつてソビエトを抑止し、現在も北朝鮮を抑止できているとすれば、イランを抑止できないと考える理由はあるだろうか。イランに対しては空爆ではなく外交と抑止路線を重視していく必要がある。・・・一方、ロシアについては、この国で市民社会が台頭していることに注目すべきだろう。帝国としての過去にこだわるプーチンも、市民社会が作り出す圧力の前に、路線を見直さざるを得なくなるはずだ。・・・・東アジアについては、中国との衝突を避けるべきで、アメリカはこの地域の軍事紛争には関与すべきではない。必要なのは、紛争を阻止するために介入することだ。もちろん、今後も維持していくべき軍事的利益も残されているが、こうした路線の前提として日本と中国の和解を促す必要がある。われわれの極東政策における軍事的色彩を弱めていく必要がある。・・・・

ユーロリスクと ヨーロッパの政治危機

2012年5月号

トマス・クロー 欧州外交評議会シニア・フェロー

ソブリン債務危機の拡散を懸念する市場を安心させるとともに、IMFからの支援を取り付けようと、ユーロ参加国はファイアーウォールを増強した。だが、債務危機がスペインに広がっているために、市場は依然として慎重な見方を崩していない。実際、「将来における危機を食い止め、危機が起きても対処できる強固で安定した枠組みが築かれたわけではなく、(ファイアーウォールは)これまでの対策同様に、ユーロゾーンのための強固なシステムの確立に向けた暫定措置にすぎない。・・・一部の諸国が経済と財政の悪化に苦しむ事態が続けば、ユーロ圏の利益や目的に関する共有意識が損なわれ、状況を管理していくのは、政治的にますます難しくなる。・・・救済のための橋を架けても、それがどこへつながっているのか、わからない状況が続いている。

イラクがシリアを擁護する理由
――「イラン化する」イラク

2012年5月号

モハマド・バッジ  米外交問題評議会中東担当シニア・フェロー(非常勤)

シリアで民衆蜂起が起きて以降、イランは(シリアの体制を支えていく上で)イラクのマリキ首相を重視するようになり、イラクの同盟勢力がシリア政府を支援することを望むようになった。これまでシリアを批判してきたとはいえ、現在のイラクはイランに多くを依存している。イラクにとって、イランは重要な貿易相手だし、イランとの貿易がイラク経済を動かすエンジンの役目を果たしている。マリキがイランとの関係を清算することはおそらくあり得ない。シリア政府支援をめぐってイランとイラクが一定の協力関係にあることは、おそらくはシリアへの軍事支援物資を積んでいると考えられるイランの輸送機がイラク領空を通過するのを認めていることからも明らかだろう。もちろん、イランと敵対するスンニ派アラブ諸国は、この現実に不満を募らせている。

グローバル化する非感染性疾患
―― なぜ途上国で慢性疾患が広がりをみせているか

2012年5月号

トマス・J・ボリキー
米外交問題評議会
グローバルヘルス担当シニア・フェロー

WHO(世界保健機関)によれば、いまやガンや糖尿病を含むNCDs(非感染性疾患)で命を落とす人々の80%が途上国に集中している。先進国では予防も治療もできるようになったが、途上国で暮らす人々にとって非感染性疾患は死の宣告を受けるに等しい。いまやこの疾病は金融危機、自然災害、政治腐敗、感染症以上に途上国の経済開発を妨げる大きな脅威となっている。NCDsは、人々が若くして後遺症を抱え込んだり、命を落としたりする最大の要因として感染症に取って代わりつつある。

Foreign Affairs Update
バッシャール後のシリア
――破綻国家化を回避せよ

2012年5月号

ダニエル・バイマン ブルッキングス研究所サバン中東研究センター所長

バッシャール・アサドの命運はすでに尽きている。すでに専門家の多くは、バッシャール後にどのようなシリア政府が誕生するかを考え始めている。バッシャールが殺害されても、独裁政治の構造が残存すれば、軍事、経済上の要職にある彼の親族や側近達が彼に取って代わるだけの話だ。この場合、かつての側近たちは、反政府勢力と戦う一方で、内的な権力抗争を繰り広げることになる。一方、反体制派集団の多くは自由シリア軍(FSA)を自称しているが、そこに明確な指揮統制はない。現実には、さまざまな集団が地域的に政府軍に戦いを挑んでいるにすぎない。紛争が長期化すれば、戦いの構図は「スンニ派武装グループ」対「アラウィ派武装グループ」へと変化し、バッシャールが姿を消しても、紛争が長期化する恐れがある。すでに周辺国へと大量の難民が流出しており、反体制派はこれらのキャンプを反アサド闘争の拠点としている。当然、シリアの内戦が地域紛争へと拡大していく危険がある。最悪のシナリオは、こうした混迷のなかでシリアが破綻国家へと転落していくことだ。

ベビー・ギャップ
―― 出生率を向上させる方法はあるのか

2012年5月号

スティーブン・フィリップ・クレーマー 米国防産業大学教授

少子化によって課税できる労働人口が少なくなるにつれて、政府は困難な決定を下さざるを得なくなる。社会保障手当を切り捨てて引退年齢を引き上げるか、税率を大きく引き上げるしかなくなるからだ。さらに厄介なのは、労働人口が高齢化していくにつれて、経済成長を実現するのが難しくなっていくことだ。・・・低い出生率は、先進世界の福祉国家体制だけでなく、国の存続そのものを脅かすことになる・・・男女間の差別解消に真剣に取り組まず、女性のための適切な社会サービスの提供に熱心でなかったイタリアや日本のような国は出生率を上昇させられずにいる。これに対して、GDP(国内総生産)の約4%程度を、子育ての支援プログラムにあてているフランスやスウェーデンは出生率の低下を覆すことに何とか成功している。出産奨励プログラムには大きなコストがかかるし、伝統的な家族の価値を支持する人々の怒りを買う恐れもある。だが、低出生率の罠にはまってしまえば、これまでとは不気味なまでに異なる人口減少という未知の時代へと足を踏み入れることになる。

教育と国家を考える

2012年5月号

◎スピーカー
ジョエル・I・クライン ニューズコーポレーション教育部門最高経営責任者
コンドリーザ・ライス 前米国務長官および国家安全保障問題担当大統領補佐官
◎プレサイダー
テリー・モーラン ABCニュースナイトライン アンカー

CFRミーティング
ヨーロッパ経済の危機再燃は避けられない
――世界経済アップデート

2012年5月号

スピーカー
ルイス・アレキサンダー 野村ホールディングスアメリカ担当チーフエコノミスト
ジョイス・チャン JPモルガン・チェース新興市場・債券調査担当統括責任者
ヴィンセント・ラインハルト モルガンスタンレーアメリカ担当チーフエコノミスト
モデレーター
セバスチャン・マラビー 米外交問題評議会 地政経済学研究センター所長

現状ではギリシャのプライマリーバランスは黒字ではない。この状況が続く限り、(支援をめぐる)政治的均衡が崩れれば、深刻な危機局面へと舞い戻ることになる。(L・アレキサンダー)

赤字と債務を減らそうとすれば、成長のための投資が後回しにされ、経済の持続可能性は低下する。結局、国債を通じた借入コストだけが高くなる。その結果、国内の金融機関が債務を塩づけにする貯蔵庫と化している。(V・ラインハルト)

現在から2014年までにスペインとイタリアだけでも、8000億ドル規模の資金を、国債発行を通じて調達しなければならない。これだけをみても、ヨーロッパにとって今後3年間は楽ではない。(J・チャン)

CFR Meeting
経済・貿易の世紀と伝統的外交の終わり
――TPP、知的所有権、NGO

2012年5月号

ロバート・ホーマッツ
米国務次官補(経済成長およびエネルギー・環境担当)
ティエリ・ド・モンブリアル
フランス国際関係研究所会長

かつて外交は各国の外交担当者の専権事項だったが、今日では、あらゆる政府省庁が外交を展開している。実質的に、すべての省庁は、国際経済領域に深く関与しており、いまや外交担当省庁のチャンネルを経由する必然性は消失しつつある。つまり、外交コミュニケーション、外交政策という概念そのものが変化している。・・・外交担当省庁の役目は、政府省庁の外交アジェンダの調整と優先順位を決め、それを全体的なパッケージに仕立てあげることへと変化している。統治スタイルが変化した結果、システムは大きく変化している。しかも、昨今における問題の多くはグローバル化している。だが、政治家は国内の有権者の意向にも配慮しなければならない。これが、世界に非常に大きなジレンマを作り出している。

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