緊縮財政時代の米国防戦略
―― 日本の安全保障とA2・AD戦略
2012年12月号
アメリカの国防予算が大幅に削減されるのは避けられず、アメリカの安全と繁栄に不可欠な「西太平洋と湾岸地域」、そして(海洋、宇宙、そしてサイバースペースという)「グローバルな公共財」へのアクセスを維持することに焦点を合わせた戦略をとる必要がある。西太平洋の安定とアクセスを保障するアメリカの戦略の要となるのは、やはり日本だ。日本は接近阻止・領域拒否(A2・AD)戦略への投資を大幅に増やして、中国や北朝鮮による攻撃の危険を低下させるべきだ。同盟国によるこうした試みが実現すれば、(中国など)ライバル国が持つA2・ADシステムの射程外から使用できる長距離攻撃システム、敵のA2・ADのレンジ内でも効果的に活動できる攻撃型原子力潜水艦など、米軍の強みを生かせるようになる。ここに提言するアクセス保障戦略とは「米軍は(予算の制約下で)現実的に何ができるか」を前提にした戦略だ。