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論文データベース(最新論文順)

CFR Meeting
習近平の中国にどう対応すべきか

2013年4月号

エリザベス・エコノミー  米外交問題評議会シニア・フェロー、チェン・リ ブルッキングス研究所中国センター リサーチディレクター、エドワード・N・ラトワック 戦略問題国際研究所シニアアソシエート

中国側の言葉、主張、行動を前に、近隣諸国はまとまりつつある。中国の優位をある程度受け入れつつあるかにみえる韓国はこのグループに入っていないが、(日本、フィリピン、インド、ベトナムを含む)他の近隣諸国は、明確に中国の覇権を拒絶し、連帯を組織しつつある。(E・ラトワック)

現指導層が進めている反政治腐敗キャンペーンは、共産党を再生させることが目的だと私はみている。つまり、政治改革を進めるつもりはなく、党を再生するための党内民主化を図っているにすぎない。(E・エコノミー)

中国のリベラル派は習近平のことを新たな鄧小平とみなし、保守派は新たな毛沢東とみている。外国の専門家のなかには、彼のことを中国のゴルバチョフになると予測する者もいる。だが、私の予測は、彼が中国の蒋経国、(つまり、民主化に踏み切る指導者)になることだ。(チェン・リ)

CFR Interview
なぜアメリカは
イラク戦争の判断を間違えたか

2013年4月号

リチャード・ハース 米外交問題評議会会長

(イラクとの戦争判断をめぐっては)憶測がワシントンを支配していた。・・・憶測も情報も間違っていた。戦争は迅速かつ簡単に終わると考えられていた。イラク人はアメリカ人を解放者として歓迎する。解放されたイラクを、アラブ語に翻訳された『ザ・フェデラリスト』を読み込んだ現地の民主主義勢力に委ね、米軍が安全にイラクを離れるまで、そう長い時間はかからない、と考えられていた。・・・イラク戦争は戦う価値があったのか、戦争をめぐって一連の優れた決定が下されたとみなせるか、うまく遂行されたか。これらの問いに対する答は完全にノーだ。イラク戦争はアメリカ政府が(必要に駆られて遂行した戦争ではなく)自ら選んだ戦争だった。だが、それは間違った選択だったし、うまく遂行されることもなかった。・・・イラク戦争の教訓とは、憶測を基に政策を組み立てることがいかに危険かという点にある。疑問や厄介な問題を憶測だけで片付けてしまえば、いかなるものでも説得力があるように思え、自分で納得してしまう。それが、現実に起きてしまった。

Foreign Affairs Update
プーチン・ドクトリン

2013年4月号

レオン・アーロン アメリカン・エンタープライズ研究所 ロシア研究ディレクター

「ロシアは核の超大国、国際的活動のすべての側面における大国としての地位を維持し、政治、軍事、経済をめぐる地域的リーダーとしての役割を守り、地域的覇権国として君臨しなければならない」。プーチンは、ロシアで広く共有されているこのコンセンサスに「ソビエト解体によって失われた経済、政治、戦略地政学上の政府資産の回復」をアジェンダに加えた。これがプーチン・ドクトリンの概要だ。こうしてロシアが権威主義に回帰していくと、モスクワは、対外的な脅威を強調するようになった。こうして、米ロ関係のリセットを経た現状では、ロシアとの交渉の余地は失われつつある。この状況では、再び関係のリセットを試みのではなく、対話チャンネルを維持しつつも、対ロエンゲージメントを低下させる「戦略的休止」が、もっとも賢明なワシントンの対ロシア戦略かもしれない。

CFR Interview
内戦から宗派間紛争へ
――国家解体へと向かうシリア

2013年4月号

モナ・ヤコービアン
スティムソン・センター 中東担当シニアアドバイザー

シリア紛争は内戦から宗派間紛争へと姿を変え、人的犠牲も深刻なレベルに達している。犠牲者数はすでに7万を超え、国連によれば、シリアから脱出した難民の数も100万に達している。宗派間紛争の色彩がますます強くなっているために、紛争はすでに地域的な余波をもち始めている。数世紀にわたって宗派対立の緊張を抱えてきたシリアにとって、もはや宗派間の関係を修復するのは絶望的な状態にある。シリアの国家解体の可能性に言及する人々もいる。特にキリスト教徒とアラウィ派住民は危機感を募らせている。シリア北部を中心とするキリスト教徒のコミュニティは自ら武装することで、自衛策をとりつつあり、政府が彼らに武器を提供しているとも言われる。マイノリティの多くは自分たちが安心して暮らせる地域へと向かっており、事実上の国家分割が起きつつあるとみなすこともできる。・・・シリア、あるいは(シリア、レバノン、ヨルダンなどで構成される)レバントの解体をわれわれは目撃しつつあるのかもしれない。

アジア重視戦略が高めた軍事衝突リスク

2013年4月号

マイケル・クレア
ハンプシャーカレッジ教授

アメリカがイラクとアフガニスタンの問題に気を取られている間に、中国は東シナ海と南シナ海における「議論の余地のない」領有権を思うままに主張するようになり、自国の立場を力で裏付ける軍事戦略をとるようになった。だが、2011年、オバマ大統領は「アジア太平洋地域は、グローバルな経済ダイナミズムの新しい中枢になった」と表明し、これらの海域での米軍事力の支配的優位の再確立に乗り出した。アメリカは領有権論争をめぐって中立を装っているが、現実には、中国と敵対する諸国に肩入れしている。このため、中国人の多くは、「ワシントンは中国の台頭を牽制しようと、領有権論争のある海域でより積極的な行動をとるように日本やフィリピンに働きかけている」とみている。こうした認識が、ワシントンに対する中国の不信と反発を強め、今後、海洋で偶発事故が起きる危険を高めている。アジア重視戦略は、これらの海域での小競り合いが起きるリスク、当事国が挑発行動をとるリスクを高め、南シナ海、東シナ海で戦争が起きる危険を高めてしまっている。

H7N9型インフルエンザの謎とリスク

2013年04月

ヤンゾン・ファン
米外交問題評議会シニア・フェロー
(公衆衛生担当)

現状ではH7N9の人から人への感染のリスクはそれほど高くないかもしれないが、すでにかなりの変異を遂げ、動物から人への感染が起きている。H7N9の感染例3件のうち2件が、2万頭を超える豚の死骸が川から引き上げられた上海で報告されていることに注目する必要がある。豚がインフルエンザを人へと感染させる混合容器の役目を果たすことを考えれば、死亡した豚とH7N9という新型ウイルスの登場を関連づけてとらえてもおかしくはない。すでに死亡した27歳の上海の男性は、豚の販売ブローカーだったと報道されている。さらに、犠牲者の一人には二人の息子がおり、息子二人も急性症状を発症し、すでに一人は死亡している。家族のうちの3人が急性症状を発症するという事態、つまり、人から人への感染が生じている可能性を前に、WHO(世界保健機関)の中国代表は「憂慮すべき事態だ」とコメントしている。

スタンリー・マクリスタルが語る
イラク、アフガニスタンの教訓

2013年4月号

スタンリー・マクリスタル
前アフガン駐留軍・国際治安支援部隊司令官

イラクという戦場は複雑だった。テロだけでなく、社会問題にもわれわれは直面していた。武装勢力がいただけでなく、宗派間抗争も起きていた。ネットワーク化された敵に対して、われわれもネットワーク化する必要があった。・・・「敵はどこにいるか」、「誰が敵なのか」、「敵は何をし、何をしようとしているか」を考えた挙げ句、結局「なぜ彼らはわれわれの敵なのか」を考えた。・・・アメリカにとっては、ドローン攻撃はリスクも痛みも少ないかもしれないが、攻撃される側にとっては、戦争であることに変わりはない。アメリカ人はこの点を理解する必要がある。現状で、そうした軍事技術をわれわれが無節操に用いているとは思わないが、そうなる危険は常に存在する。・・・武装勢力との戦争の重要なポイントは、たんに敵勢力を殺害することではなく、現地の民衆の面倒をみることだ。現地の民衆を守る積極的な理由があるし、そうしないのは間違っている」。(S・マクリスタル)

北朝鮮の強硬路線と軍事衝突のリスク

2013年04月

スコット・スナイダー
米外交問題評議会シニア・フェロー(朝鮮半島担当)

「北朝鮮が強硬路線を続けているのは、外からの脅威に屈すれば、国内的に面目を失うことを懸念しているからでもある。金正恩が確固たる国内基盤を築いていないために、ここで圧力に屈することは選択肢にならない。国内基盤を確立させない限り、平壌が現在のエスカレーション路線を緩和させることはないだろう。・・・われわれは、程度の違いこそあれ、同じパターンの北朝鮮の行動を何度も目にしているが、金正恩は、彼の父親よりもさらに大きなリスクを冒す戦術をとるつもりかもしれない。・・・ 平壌は、アメリカが北朝鮮のことを核保有国として認めることを望んでいる。韓国に対しては、朴槿恵政権が、前政権よりも平壌との安定した関係を望んでいるかどうかを、見極めたいと考えていると思う。・・・現状における大きな危険は、判断ミス、状況の誤認から衝突が起きてしまうことだ。・・・判断ミスによって深刻な事態に陥る危険がある。もう一つは、確たるエビデンスは存在しないが、国内の不安定化を前に北朝鮮が無茶な行動をとり始め、これが南北間の衝突につながっていく危険もある」

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