アメリカのアジア重視戦略は安全保障領域を重視しすぎており、外交・経済領域を軽視している。TPP(環太平洋パートナーシップ)がこのギャップの一部を埋めてくれるかもしれないが、中国に対してもっと積極策をとるべきで、二国間投資協定(BIT)を交渉していくべきだろう。今後の中国における改革の試金石とみなされる上海自由貿易区を開設したことからも明らかなように、中国はこれまでの投資主導型の輸出経済モデルを見直す必要があることを理解している。BITは米中の通商関係を加速する大きな触媒の役割を果たし、両国の経済バランスに二つの大きな変化をもたらす助けになる。一つは、人民元が市場価値に即したレベルへと引き上げられていけば、アメリカの対中輸出が増大する。そして、もう一つは中国から相当規模の対米投資が行われるようになることだ。すでに2013年9月、上海インターナショナルは米豚肉加工大手のスミスフィールドフーズを71億ドルで買収し、これは、至上最大の中国企業による米企業の買収となった。・・・