新興国経済と短期資金 ―― 短期資金流入規制の容認を
2014年3月号

量的緩和は、FRBが新たに増刷した紙幣で(米国債等の)長期金融資産を購入することで、マネタリー・ベース(通貨供給量)を拡大して、利回りの上昇を抑え込むことを目的に実施されたが、よりリスクの高い資産への投資も刺激し、新興国に大規模な短期資金の流入が起きた。これによって新興国経済は一時的に潤ったが、量的緩和縮小を織り込んだ市場の思惑によって、資金が流出し始めると、インド、インドネシア、トルコ、ブラジルなどの新興市場国の通貨および債券市場は大きな余波にさらされ、現在もこの流れが続いている。国内資産に占める外国資本の比率が低く、貿易収支が黒字で、十分な外貨準備を保有している新興国は、より大きな柔軟性と復元力を持っている。こうした条件を満たしていれば、通貨と国内資産市場のボラティリティーは大きくならない。・・・・新興国政府が、突然起きる極端で予期不可能なショックから自国経済をまもるため、短期資金の流入を慎重に規制することを容認することが、先進国の利益にもなる。