金融政策とその限界
2013年8月号
![](https://www.foreignaffairsj.co.jp/cms/wp-content/uploads/2013/08/posen2-260x173.jpg)
金融政策のことを、大きな権限を持つものだけが操れる、何かミステリアスで不可知なものと恐れる必要はないし、その政策を万能薬と考えるのも間違っている。・・・その背後には常に政治が介在し、ときに金融政策の決定プロセスを混乱させ、戦術的な変化を強要されることもある。しかし、政治が金融政策に決定的な影響を与えるのは、金融政策委員会の委員長(総裁・議長)がそれを望んだ場合だけだ。・・・中央銀行のバンカーたちの役割は、結局のところ、薬剤師のそれとさほど変わらない。棚にある薬の量は限られており、法律によって一定量を超える薬を使うのは禁止されている。この条件で異なる専門家が書いた走り書きの処方箋に一貫性をもたせ、適切な調剤薬品を患者に提供する。その人物が薬品を摂取すること以外、何かを知ることも管理することもない。望み得る最善は、副作用を最小限に抑えつつ、患者が時とともに着実に回復していくことだ。