日中軍事衝突のリアリティ
―― 日中危機管理システムの確立を急げ
2015年5月号
東シナ海をめぐる日中関係は、一般に考えられている以上に緊張している。中国軍の高官が言うように、「わずかな不注意でさえも」、世界で2番目と3番目の経済国家間の「予期せぬ紛争に繋がっていく恐れがある」。もちろん、日中はともに紛争は望んでいない。だが、東シナ海の海上と上空の環境が極端に不安定である以上、誤算や偶発事件が大規模な危機へとエスカレートしていく危険は十分にある。世論調査結果をみても、日中間の敵意はこれまでになく高まっている。しかも、偶発的衝突を制御していく力強い危機管理メカニズムが存在しない。中国軍と自衛隊の高官たちでさえも、危機エスカレーションリスクが存在することを懸念している。危機管理メカニズムが必要なことは自明だが、日中両国にそれを導入する政治的意思があるかどうか、依然として不透明な状況にある。・・・
