悪いのはロシアではなく欧米だ
―― プーチンを挑発した欧米のリベラルな幻想
2014年9月号
ロシアの高官たちはワシントンに対してこれまで何度も、グルジアやウクライナを反ロシアの国に作り替えることも、NATOを東方へと拡大させるのも受け入れられないと伝えてきたし、ロシアが本気であることは2008年にロシア・グルジア戦争で立証されていた。結局のところ、米ロは異なるプレーブックを用いている。プーチンと彼の同胞たちがリアリストの分析に即して考え、行動しているのに対して、欧米の指導者たちは、国際政治に関するリベラルなビジョンを前提に考え、行動している。その結果、アメリカとその同盟諸国は無意識のうちに相手を挑発し、ウクライナにおける大きな危機を招き入れてしまった。状況を打開するには、アメリカと同盟諸国は先ず「グルジアとウクライナをNATO拡大策から除外する」と明言する必要がある。