「イスラム国」の衝撃
―― 包括的空爆作戦の実施を
2014年9月号
「イスラム国」はイラクでの最近の軍事的成功を追い風に、シリアでも支配地域の拡大を試み、数日間だったとはいえ、レバノンの国境地帯の町アルサルさえも攻略した。自信を深めた彼らは、いまやイラク、シリア、レバノンの軍隊を相手に戦闘を繰り広げている。その目的は、支配地域を拡大し、戦費を調達するのに有用な石油施設やダムを押さえ、厳格なイスラム主義を制圧地域住民に強要し、ジハード主義集団内で自分たちの優位を確立することにある。すでにアルカイダ系のジハード組織のメンバーが「イスラム国」に参加しつつあることを米情報機関は確認しており、今後、その流れはますます大きくなっていくと考えられる。「イスラム国」の拡大をこのまま放置すべきではない。「イスラム国」と正面から対峙するタイミングを先送りすればするほど、その対応コストは大きくなる。