イスラム国と米サウジ関係の転機
2014年11月号
シリアのアサド政権を敵視するサウジの指導者たちは、ワシントンがシリアに対する強硬路線を2013年に後退させ、最終的に空爆計画を撤回したことに憤慨し、両国の関係は一気に冷却化した。だがいまやサウジは、アメリカとの対イスラム国共闘路線を強化していくと示唆している。イスラム国の脅威に対して共闘すれば、地域的な安定を促進できるだけでなく、アメリカとの関係も改善する。だがその多くは、ワシントンが「シリアとイラクに対する長期戦略を明確に描けるかどうか」に左右される。少しでもワシントンが立場を後退させるようなら、サウジはアメリカとは別の地域戦略をとるしかないと考えている。この場合、ワシントンにとっては非常に厄介なことに中東で新たな敵対国に直面することになる。