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論文データベース(最新論文順)

起業を成功させる人物とは

2015年1月号

マイケル・モリッツ ベンチャー・キャピタリスト

はっきりとした考えをもち、明確に考えを表現するコミュニケーション能力があり、大きな使命感をもっている人物。大きな忍耐力をもち、痛みを伴う決定を下すことを厭わず、圧倒的なバイタリティをもつ人物。そして自分が始めようしていることが一生の仕事になると確信している。これが一握りの素晴らしい企業を支える優れた起業家がもっている資質だ。・・・多くの企業がもっとも遠ざけるべきは「プロフェッショナルなマネージャー」たちだ。ほとんどの企業は、マネージャーではなく、起業家が運営した方がうまくいく。企業が完全な状態にある必要はないし、少し荒削りで、混沌として、先が読めない状態でも、活力があれはいい。活力を保ち、新しい製品を送り出し、迅速に行動することが重要だ。・・・・

欧米に背を向けたドイツ
―― 中ロとの関係強化を模索する理由

2015年1月号

ハンス・クンナニ 欧州外交問題評議会 リサーチディレクター

ドイツは欧米同盟に留まることが経済的、軍事的に不可欠だとはもはや考えていない。ベルリンの壁崩壊とEUの拡大は、アメリカに軍事的に依存する必要性からドイツを解放し、しかも、ドイツの輸出主導型経済は、ロシアや中国市場への依存を強めている。これは、アメリカ主導の対ロ制裁への参加を決定する際に、メルケル首相が制裁に反対する経済界からの大きな圧力に直面したことからも明らかだろう。・・・ドイツは中国との経済関係の強化も模索している。「アジア版クリミア編入」が起きて、アメリカが中国との深刻な対立局面に陥った場合、ドイツはどう動くだろうか。おそらく中立を選ぶはずだ。・・・EUにおける大きな影響力をもっているだけに、中ロとの関係強化を模索するドイツ外交の変化は、ヨーロッパ外交にも大きな影響を与えずにはおかないだろう。・・・・

電子メール、電話、送金、金融決済など国境を越えた通信や取引の95%は空や宇宙ではなく、海底を走る約300本、全長96万キロ超の光ファイバーケーブルを経由している。問題は、この重要な通信ケーブルが海底でも地上との接続部分でもほぼ無防備な状態におかれていることだ。ケーブルの位置を示した地図はインターネットでも入手可能で、これを見れば各国の弱点が簡単にわかる。敵国が、高解像度ソナーと爆弾を積んだ無人自律型無人潜水機を遠隔操作して相手国にとって重要なケーブルを簡単に破壊できる状態にある。・・・・消費者は海底ケーブルを空気のような存在とみなし、その重要性を実感することがない。だが、それが失われれば、空気が失われたときと同様に苦しい思いをする。最悪のシナリオが現実になる危険を最小限に抑える対策をとる価値は十分にあるはずだ。・・・・

あらゆるモノを売る男
―― アマゾン・コム創設者、
ジェフ・ベゾスとの対話

2015年1月号

ジェフ・ベゾス amazon.comの創設者、最高経営責任者

アマゾンがまだ小さな企業だった頃に、われわれは任意抽出した約1000人の顧客に「われわれが現在販売しているもの以外に、あなたはアマゾンが何を販売することを期待しますか」という内容の電子メールを送った。われわれの顧客が望んでいたのは・・・膨大なリストの商品だった。これは驚くべき事態だった。これによって、自分たちが考案したシステムを用いて、非常に数多くの消費財を売れるのではないかとわれわれは考えるようになった。・・・起業家に適した資質はそれほど多くない。一つは現状に満足しないことだ。どうすればもっとよくできるかを常に考える。・・・新しい発明が本質的にディスラプティブ(破壊的)だとは限らない。消費者が「古いやり方よりも、この新しいやり方が好きだ」と感じるようになって初めて、発明はディスラプティブ・テクノロジーになる。・・・・

ドナルド・トゥスク欧州理事会議長は、エネルギー資源を政治ツールにしたロシアの恫喝策に翻弄されないように、ヨーロッパは「エネルギー連合」を組織すべきだと提言している。天然ガスの調達を任務とする統合組織をヨーロッパが立ち上げれば、ヨーロッパはロシアの独占的立場に対抗できるようになるからだ。たしかに、ヨーロッパの立場は一枚岩ではない。ロシア資源に全面的に依存するバルト諸国のような国もあれば、まったく依存していないデンマークやスウェーデンのような国もある。さらに、この提言は二酸化炭素排出量の削減やエネルギーサプライヤーの多角化など、EUが2008年に採択した政策目的を放棄することにつながる。だが、買い入れを一つの窓口に集約すればEUの交渉力を強化し、価格を抑え、ロシアが政治目的を推進するために天然ガス資源を利用するのを阻むことができる。欧州エネルギー連合構想の実現を模索する価値は十分にある。・・・・

ゾンビ化したアベノミクス

2015年1月号

リチャード・カッツ オリエンタル・エコノミック・レポート エディター

安倍政権は、輸出促進策の一環として(意図的かどうかはともかく)円安を誘導し、円の価値は30%低下した。だが競争力を強化するための構造改革を先送りしているために、円安効果はほとんどなく、国内経済の成長は停滞したままだ。むしろ、円安による物価の上昇で、勤労者世帯の実質可処分所得は1年前と比べて6%低下した。消費支出が停滞し、経済がリセッションに陥ったのはこのためだ。安倍政権が3本の矢を本当に利用するつもりなら、景気刺激策と金融緩和を、構造改革という困難で時間のかかる手術をするための麻酔薬として利用したはずだ。だが、日本政府は長期にわたって景気刺激策と金融政策を、痛みを感じないようにする麻薬として用いただけで、手術(構造改革)をしなかった。・・・

市場経済・民主主義は淘汰されたのか
―― 旧共産圏改革に関する幻想と現実

2015年1月号

アンドレイ・シュライファー ハーバード大学教授(経済学)
ダニエル・トレーズマン カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA) 教授(政治学)

旧東側諸国では「市場経済・民主主義モデルへの移行をうまく成功させられなかった。機会をフイにしてしまった」という喪失感が漂っている。年金生活者が苦しむ一方で、少数の新興財閥が誕生している。選挙では不正が横行し、政治は独裁者に牛耳られている。中国の台頭やグローバル金融危機に衝撃を受けた一部の専門家は、「権威主義的国家資本主義が、機能不全に陥ったリベラルな民主主義に対する力強い代替策を提供している」とさえ考えるようになった。だが、この認識は間違っている。むしろ、旧東側諸国の暮らしは劇的に改善している。市場経済・民主主義体制に移行して以降、これらの国は急速な成長を遂げ、いまや人々の暮らしはこれまでよりもはるかに豊かになった。寿命も伸び、幸せに暮らしている。市場改革、民主化努力、そして政治腐敗との戦いは、完全ではなかったにせよ、失敗ではなかった。・・・・

イスラム国のエジプトへの拡大

2015年1月号

カリル・アルアナニ ジョンズホプキンス大学 ポール・ニッツスクール非常勤教授(中東研究)

2014年11月、シナイ半島北部を拠点に活動するエジプトのイスラム過激派組織アンサル・ベイト・アル・マクディス(エルサレムの支援者)は、イスラム国(ISIS)とその指導者であるアブ・バクル・アル・バグダディへの忠誠を誓うと表明し、イスラム国との事実上の同盟関係に入った。これによってエジプトに足場を確保したイスラム国は、今後さらに大きな影響力を手にするかもしれない。アラブ世界における主導国として政治・文化的地位を確立しているだけでなく、イスラエルと国境を接しているだけに、エジプトはイスラム国が目指すカリフ制イスラム国家建設に向けたきわめて重要なアセットになる。ユダヤ国家を攻撃すれば、アラブ世界におけるイスラム国の活動はさらに正当化される。・・・

ルーブルショックとプーチンのジレンマ
――欧米に譲歩するか、ソビエトに回帰
するか

2015年1月号

ダニエル・クラウド プリンストン大学講師(哲学)ファイアーバード・ファンドカンタリアン・キャピタルマネジメント共同設立者

米連邦準備制度が金融政策の正常化を試み始めた2014年夏以降、原油価格は低下し始め、1年前と比べて原油価格の水準はいまや半分へと低下している。ロシアの輸出利益の3分の2は原油輸出収益であり、当然、モスクワが巨大な貿易黒字を維持していけるはずはない。控えめにみても、2015年にはロシア経済の規模は少なくとも4%縮小する。すでにインフレ率は8%を超え、今後さらに悪化していく。プーチンが何をしようと、この低い水準の原油価格ではルーブルが深刻な危機から脱することはできない。しかも、ロシアの外貨準備は急速に枯渇しつつある。・・・早い段階でプーチンが欧米との関係を修復すれば、1998年のようなルーブルのクラッシュは回避できるかもしれないが、それには大きな政治コストが伴う。一方、プーチンが現在のコースを維持し、権力を維持していくつもりなら、法の支配に基づく政府という体裁をかなぐり捨て、ソビエト流の警察国家を再構築するしかない。・・・

孤立した一本の矢
―― 量的緩和の国際的政治・経済リスク

2015年1月号

ロバート・カーン 米外交問題評議会シニアフェロー

アナリストの多くは、2014年12月の解散総選挙を契機に、安倍政権が構造改革に積極的に取り組むことを期待している。だが、今後、日本政府が構造改革に向けたイニシアティブをとっても、既得権益集団が依然として力をもち、改革への政治的障害が存在するために、その焦点は選挙制度の改正や地域安全保障の問題へと置き換えられ、構造改革を支える政治的エネルギーが奪われてしまうかもしれない。とはいえ、アベノミクスの第3の矢(構造改革)が進展しなければ、日本経済の成長のすべては量的緩和に依存することになる。そして、量的緩和と明らかに連動している円安が、2015年に向けて、通貨戦争のリスクを高め、世界の通貨市場を緊張させることになるかもしれない。さらに、これまでも貿易条約の批准に際しては為替レートのミスアラインメントへの対応を厳格に義務づけてきた米議会が、円安ドル高問題を取り上げれば、TPP交渉にも暗雲が立ち込めることになる。・・・

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