これまで中国政府は、主要銀行の不良債権が経済に悪影響を与えないようにベイルアウト(救済融資)や簿外債務化を試み、一方、地方の銀行については、地方政府が調停する「合意」で債務危機を抑え込んできた。だが、もっともリスクが高いのは地方政府そして国有企業が抱え込んでいる膨大な債務だ。不動産市場が停滞するにつれて、地方政府がデフォルトを避けるために土地をツールとして債務不履行を先送りすることもできなくなる。経済成長が鈍化している以上、国有企業がこれまでのように債務まみれでオペレーションを続けるわけにもいかない。しかも、債務の返済に苦しむ借り手は今後ますます増えていく。中国が債務問題を克服できなければ、今後の道のりは2008年当時以上に険しいものになり、中国経済に壊滅的な打撃を与える危機が起きるのは避けられなくなる。