嵐の前の静けさ
―― 次にブラックスワン化する国は
2015年1月号
![](https://www.foreignaffairsj.co.jp/cms/wp-content/uploads/2015/01/shutterstock_289571369-260x174.jpg)
国家の脆弱性の基準は五つ存在する。中央集権型の統治システム、画一的で硬直的な経済体制、過大な債務とレバレッジ、政治的硬直性、そして近い過去に衝撃から立ち直った経験をもっていないことだ。この基準に照らせば、世界地図は大きく違ってみえてくる。意外にもいつも混乱しているイタリアに脆弱性を示す兆候はない。政治危機が間欠泉のように吹き出すにも関わらず、うまく分権化されており、その都度、立ち直っている。一方、サウジは石油資源に経済を依存し、政治的に硬直的で、高度な中央集権国家だ。日本も「穏やかな脆弱性」を抱える国に分類できる。非常に大きな対GDP比債務残高を抱え、その多くの時期を通じて一つの政党が政治を支配し、輸出に依存し、「失われた10年」から完全には立ち直れずにいる。そして中国だ。過去の混乱で培った中国の体力は、債務や集権化という弱点を補うほどに強靱だろうか。おそらく答はノーだ。時が経つにつれて、北京がブラックスワン化するリスクは高まっていく。・・・・