TPP批准に向けた最後のハードル
―― 米議会と産業界の曖昧な立場
2015年11月号
現状では、TPPが米議会で批准されるかどうか、仮に批准されるとしても、それがいつになるのかさえ分からない。ビジネス・コミュニティのTPPへの立場は分裂しているし、圧力団体の巻き返し策も軽くみてはならない。共和党指導者が沈黙を守る同僚議員たちに熱心に働きかけなければ、TPPは批准されないかもしれない。反対派の一部は、オバマ政権であれ次期政権であれ、米政府は再交渉を相手国に強要できると確信している。自由貿易の支持派の多くも、かつてのように「自由貿易は貿易相手国を繁栄させることで、アメリカも恩恵を引き出せる」とは考えていない。彼らは米企業に都合がよいように外国市場を開放させることしか考えていない。すでに十分に市場開放されているアメリカにとって、できることはほとんど残されていないと考えている。このような自己中心的な幻想に貿易相手国は強い反発を示すことになるだろう。