ウクライナがドネツクを失うとき
―― アレクサンドル・ザハルチェンコの世界
2016年1月号
![](https://www.foreignaffairsj.co.jp/cms/wp-content/uploads/2016/01/Denis-Kornilov-Shutterstock.com_-260x173.jpg)
ウクライナ東部の平和は実現するか。これは、ウラジーミル・プーチンとアレクサンドル・ザハルチェンコという、強情で何をするかわからず、軍事志向の強い二人のデマゴークたちの意向に左右される。プーチンはウクライナ紛争について「自分は見守っているだけだ」と主張し、ザハルチェンコは「自分が責任者だ」と語っている。しかし、現実はもっと複雑だ。2015年9月1日の停戦合意が示すように、決定権をもっているのはプーチンだ。戦争を始めたプーチンなら、和平も模索できる。しかし、ザハルチェンコはたんなる傀儡ではない。思想と野心、そして自分の計画をもっている。彼がおとなしくしているかどうかが、いかなる合意の成功も左右することになる。結局、ウクライナ東部は「凍結された紛争」という事態に陥っていく可能性がもっとも高いが、別のシナリオもある。・・・