米欧データ戦争の衝撃
―― 覇者の奢りとヨーロッパの反撃
2016年2月号
![](https://www.foreignaffairsj.co.jp/cms/wp-content/uploads/2016/03/snowden-260x173.jpg)
2015年10月、欧州司法裁判所は、「米民間企業によるデータ収集とアメリカ政府の国家安全保障活動の境界が曖昧である以上、(ヨーロッパの個人情報をEU域外に移転することを認めてきた)セーフハーバー協定を無効化する」という判決を下した。EUは域内企業を外国との競争から一方的に保護し、インターネットのオープンで民主的な特質を傷つけようとしていると批判する人もいる。しかし、オープンで安全なインターネット環境を擁護しつつ、アメリカはオンライン通信の暗号を無効化し、広範な通信監視システムを構築してきた。ワシントンが世界の相互依存状況を自国の安全保障目的に利用し続ければ、今回の判決がきっかけとなって、今後、他の国々と裁判所は、アメリカ中心の世界経済にますます抵抗するようになり、グローバルなクラウドコンピューティング構築の夢は絶たれ、デジタルの暗黒時代へと向かう恐れがある。