干ばつに苦しむインドでは、各州間の水資源利用をめぐる対立が激化している。ほぼすべての主要な水路が州の境界に沿って流れ、上流の州と下流の州がそれぞれどれくらいの水資源を利用するかに合意する必要がある。だが、誰がどのような目的でどの程度の水資源を利用するのかを決めるのは容易でない。しかも、州レベルの政治家たちは、特定の言語や民族集団の立場を代弁する政党に帰属していることが多く、水資源を交渉材料として利用し、近隣州への水資源供給を止めると脅迫することもある。近隣州が水資源を「収奪」しているために州民が犠牲となっていると主張することで支持を集めようとする政党もある。一方で、ヒマラヤの氷河と雪、モンスーンによる雨という2つの主要な水資源は気候変動によって今後さらに不安定化していくと予想されている。