ブラジルの政治腐敗を断ち切るには
―― 制度改革による
政治ルールの見直しを
2016年10月号
ブラジルでは、大統領が(有力)議員たちに「彼らが利害を共有する人物たちをパワフルな国有企業や規制当局の要職に任命する権限を与えて」甘い汁を吸わせることも多い。要職に就いた人物たちは、うまみの多い政府契約をどの企業が受注するかについて影響力を持つようになり、賄賂や政治腐敗絡みの入札決定から大きな利益を確保し、これを議会におけるパトロンと共有する。これがブラジルの政治腐敗の構図だ。しかし、本当の問題はもっと深いところにある。ブラジルの政治腐敗と効率のなさという問題がなぜなくならないか。それは、行政府と立法府の関係を規定するルールに不備があるからだ。制度を改革し、政治家が支持者のためだけでなく、広く社会のための優れた統治を試みるようにしない限り、未来は見えてこない。多くの政治家が違法行為に手を染めてしまうインセンティブそのものを排除するには、選挙・政治制度を大幅に見直す必要がある。