エルドアンとトルコ社会の分裂
―― 今も続くクーデター未遂事件の余波
2017年6月号

大統領権限の強化の是非を問う国民投票でエルドアンは勝利を収めたが、イスタンブール、アンカラ、イズミールという3大都市は、いずれも憲法改正にノーという答を出した。反憲法改正派は「(国民投票は)エルドアンにとって僅差での勝利だったのだから、彼もこれまでの立場を譲るのではないか」と期待していたが、そうなるはずはなかった。むしろ、エルドアンは分裂をさらに深刻にするために、あらゆることを試みていくはずだ。「クーデターを画策するギュレン運動の関係者やクルド労働者党(PKK)との戦いに勝利を収めるには、憲法を改正して、大統領の権限を強化する必要があり、憲法改正に反対するのはテロリストを支持するようなものだ」と彼は主張してきた。ジャーナリスト、アカデミックな研究者、忠誠が十分でない政府役人に対する弾圧は、今後ますます熾烈を極めるだろう。エルドアンはトルコ市民が国民投票で決めた新しい大統領制を支持しない者は、反逆的な主人(ギュレン)に仕える反乱者と決めつけている。・・・