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米中貿易戦争の悪夢
―― アメリカの勝利はあり得ない

アダム・S・ポーゼン ピーターソン国際経済研究所所長

Trade Wars Are Easy to Lose: Beijing Has Escalation Dominance in the U.S.-China Tariff Fight

Adam S. Posen アメリカのエコノミストで、ピーターソン国際経済研究所所長。2009―2012年にはイングランド銀行の金融政策委員会メンバーとして活動した。専門は、マクロ経済政策、金融危機対策、ヨーロッパ、日本、米経済など。

2025年5月号掲載論文

実際の戦争で、武装する前に敵を挑発するのは自殺行為だ。医薬品のストック、安価な半導体チップ、重要鉱物資源などの重要な物資を完全に中国の供給に依存していることを考えれば、貿易を遮断する前に代替の供給源や十分な国内生産を確保しないのは、無謀と言う他ない。トランプ政権にとって、これらのすべては交渉戦術のつもりなのかもしれない。しかし、そのように考えても、この戦略は有害だ。トランプ政権は経済版ベトナム戦争を始めようとしている。自ら選んだ戦争は程なく泥沼化し、アメリカの信頼性と能力に対する国内外の信頼は損なわれるだろう。その帰結がどうなるかは、誰もが知っている。

  • 無謀な闘い
  • 手を見せる
  • 赤字と優位性

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