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中東の危険な均衡
―― イランとイスラエルのパワーバランス

スザンヌ・マロニー ブルッキングス研究所 副会長

The Middle East’s Dangerous New Normal: Iran, Israel, and the Delicate Balance of Disorder

Suzanne Maloney アメリカの中東研究者で、特にイランを専門の分析対象にしている。現在はブルッキングス研究所の副会長で、外交政策プログラム担当ディレクター。国務省などを経て現職。著書にThe Iranian Revolution at Fortyなどがある。

2025年1月号掲載論文

今後、イランとイスラエルの直接的な軍事衝突が常態化すれば、劇的な変化が生じ、そこにあるのは、ひどく不安定な均衡にすぎなくなる。直接攻撃の敷居が低くなれば、攻撃と報復の応酬が続き、中東でもっともパワフルな二国家が全面戦争、それも、アメリカも巻き込まれ、中東とグローバル経済に大きな悪影響を与えるかもしれない戦争に突入する危険は高くなる。一方で、弱体化したイランが核兵器を保有することで孤立の道を選び、その結果、核拡散潮流が生じる恐れもある。そのような未来を防ぐことが、ドナルド・トランプ次期米大統領の大きな課題になる。

  • 危険なニューノーマル
  • 台頭するパワー
  • 攻撃の応酬
  • 破壊への願望
  • トランプ政権とイラン
  • 合意に必要な条件

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