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トランプの政策ビジョンを考える
―― 衝動性と現実主義の間

コリ・シェイク アメリカン・エンタープライズ研究所 外交・国防政策研究ディレクター

The National Security Imperative for a Trump Presidency: How His Administration Can Shore Up the Foundations of American Power

Kori Schake アメリカの外交研究者で、アメリカン・エンタープライズ研究所のシニアフェロー兼ディレクター(外交・国防政策担当)。ペンタゴン、国家安全保障会議、国務省勤務などを経て、現職。2008年の米大統領選挙ではジョン・マケイン候補(共和党)の政策顧問を務めた。著書にSafe Passage: The Transition from British to American Hegemonyなどがある。

2024年12月号掲載論文

「予測不能で衝動的」と言われるトランプの政策ビジョンは、実際には、はっきりとしている。経済グローバル化と移民を否定的に捉えている。高関税を盛り込んだ二国間協定を結び、アメリカ市場へのアクセスを制限し、貿易収支のバランスをとることを重視している。アメリカにつけ込んでいると彼がみなす同盟国への要求を高め、要求を満たすことが、同盟支援の条件とされる。だが、現実を前に考えを見直す可能性もある。反欧米勢力の一体化に立ち向かうには、健全な同盟関係が必要であることを理解するかもしれない。さらに、ロシアが取引に応じなければ、「ウクライナがこれまで手にした以上の支援を与える」可能性もある。トランプ2期目に危険はあるが、抑止力強化と国防予算の増大という側面では、米安全保障基盤を強化するチャンスでもある。

  • レトリックと現実
  • より強硬な政策で抑止を
  • 軍事予算の拡大を
  • 安全保障の強化に向けて

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