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国家安全保障というブラックホール
―― あらゆるものが国家安全保障に

ダニエル・W・ドレズナー タフツ大学 フレッチャースクール 教授

How Everything Became National Security: And National Security Became Everything

Daniel W. Drezner タフツ大学フレッチャー・スクール教授(国際政治)。フォーリン・アフェアーズでは「経済制裁依存症は何を物語る―― アメリカの衰退、外交的影響力の低下」(FAR2021年10月)、「今回ばかりは違う―― 米外交の復活はあり得ない」(FAR2019年5月号)などを発表している。

2024年10月号掲載論文

さまざまなアジェンダを国家安全保障問題に加えようとする圧力は大きい。だが脅威リストを拡大するだけでは、予期せぬ事態に備えることはできない。米同時多発テロ、コロナ禍はその具体例だ。何が国家安全保障問題で、なにがそうでないかについて、もっと慎重な議論をしなければ、ワシントンは、そのリソースを広範な問題に薄く分散させてしまう恐れがある。2025年1月に大統領として宣誓する人物が誰であれ、国家安全保障の原則を考慮して、その定義を適正なサイズに戻すべきだ。そうしない限り、政策立案者は、すべてに手を出して、すべてに失敗するパターンに陥る恐れがある。

  • 国家安全保障上の脅威?
  • 膨大化する国家安全保障リスト
  • 拡散する優先課題
  • なぜ優先課題は変化しないのか
  • 脅威を適正に認識する

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