Everett Collection / Shutterstock.com

米中対立と第一次世界大戦の教訓
―― 中国と20世紀初頭のドイツ

オッド・アルネ・ウェスタッド イェール大学教授(歴史学)

Sleepwalking Toward War: Will America and China Heed the Warnings of Twentieth-Century Catastrophe?

Odd Arne Westad ノルウェーの歴史家で、現在は、イェール大学教授(歴史学)。専門は冷戦史。陳健との共著でThe Great Transformation: China's Road From Revolution to Reformを近く出版予定。

2024年9月号掲載論文

第一次世界大戦前のドイツとイギリスのように、米中は下方スパイラルに巻き込まれているかにみえる。100年前と同様に、経済競争、地政学的懸念、深刻な相互不信が紛争リスクを高めている。かつての英独同様に、重要な問題をめぐって協力するきっかけがあっても、米中は、いさかいや些細ないら立ち、戦略的不信の高まりによって身動きできなくなっている。貿易戦争を封じ込め、より大規模な紛争の火種となるかもしれない(ウクライナや中東などでの)熱い戦争を終結させるか、少なくとも封じ込めることに努力しなければならない。熾烈な大国間競争のなかにあるだけに、第一次世界大戦への道がそうだったように、小さな紛争が壊滅的な事態を引き起こす危険がある。

  • 英独と米中
  • 新興大国の不安
  • 対立から戦争への道
  • 歴史の教訓

(C) Copyright 2024 by the Council on Foreign Relations, Inc., and Foreign Affairs, Japan

Page Top