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なぜドルは強いのか
―― 堅牢化するドル体制

エスワール・プラサード ブルッキングス研究所 シニアフェロー

Top Dollar: Why the Dominance of America’s Currency Is Harder Than Ever to Overturn

Eswar Prasad コーネル大学ダイソンスクール上級教授、ブルッキングス研究所シニアフェロー。The Future of Money: How the Digital Revolution Is Transforming Currencies and Financeの著者。

2024年8月号掲載論文

インフレの急進を警戒する内外の投資家が、いずれ、米国債を投げ売りするかもしれない。トランプが再選されれば、アメリカの金融市場とドルへの信頼が低下する恐れもある。しかし、逆説的ながらも、混乱はドルにとって好都合なのだ。経済的・地政学的混乱は安全な投資の魅力を高め、通常、投資家はもっとも信頼できるドルへ回帰する。資本の自由化と政治改革が必要になる人民元の国際通貨戦略を、北京が全面的に認めることはあり得ない。ドル相場を語る上で重要なのは、結局のところ、アメリカの強さよりも世界の弱さなのだ。このギャプが変化するまでは、アメリカがいかにひどいカードを切っても、ドルが下落することはないだろう。

  • ドルの特異性
  • なぜ強いのか
  • ユーロ、人民元
  • ニューマネーの挑戦
  • ドルのパワー
  • 混乱のなかの安全

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