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アメリカの新貿易コンセンサス
―― ロバート・ライトハイザーの世界

ゴードン・H・ハンソン ハーバード大学ケネディスクール 教授(都市政策)

Washington’s New Trade Consensus: And What It Gets Wrong

Gordon H. Hanson アメリカのエコノミストで、ハーバード大学ケネディスクール教授(都市政策)。主にデビッド・オーター、デビッド・ドーンとの共著で、中国の輸入品が米雇用に与える影響を測定した「チャイナ・ショック」に関する複数の研究論文を発表している。

2024年3月号掲載論文

前米通商代表のライトハイザーは、製造業にほぼ神秘的なまでの経済価値をみいだし、貿易赤字だけが貿易協定を評価する唯一の指標だと考えている。問題は、明らかに正しくないものを含めて、彼の見解が米国内で支持を広げていることだ。トランプの「アメリカ第1主義」の威勢のよさを思わせる彼の立場は右派にアピールし、バイデンの産業政策と環境保護路線を受け入れることで左派への訴求力ももっている。だが、ライトハイザーの処方箋が貿易政策の標準とされても、国内の工場を復活させることはできない。むしろ、その過程で国際関係に大きなダメージを与えてしまう。彼にとっては受け入れがたいとしても、アメリカの繁栄の未来は溶鉱炉や組立ラインではなく、サービス業にある。

  • アメリカファーストと産業政策の融合
  • 貿易をどう捉えるか
  • メイド・イン・アメリカ?
  • 比較優位と雇用
  • 製造業の貿易赤字とは
  • 貿易単独行動主義

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