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ハイリスク環境における安定とは
―― システミック・レジリエンスの確立を

アンシア・ロバーツ オーストラリア国立大学 教授(グローバル・ガバナンス)

From Risk to Resilience: How Economies Can Thrive in a World of Threats

Anthea Roberts オーストラリア国立大学教授(グローバル・ガバナンス)。ドラゴンフライ・シンキング創業者。共著にSix Faces of Globalizationがある。

2024年1月号掲載論文

レジリエンスはショックやストレスに耐える能力として理解されている。だがそれは、リスクに効果的に対応するだけでなく、将来的な恩恵を獲得し、変化に対応できるように進化することも意味する。そうした、システミック・レジリエンスを実現するには、政府と企業は「リスクと恩恵の適切なバランス」をとらなければならない。リスクの最小化を目指すと、恩恵が減少するだけでなく、時間の経過とともに新たな脆弱性が生み出される。同様に、短期的な恩恵の最大化を目指せば、既存のリスクを見過ごし、新たなリスクを生み出し、後に大きな犠牲に直面する危険がある。もっとも困難なケースは、経済的相互依存のリスクと恩恵の双方が大きい場合だ。このような場合、システミック・レジリエンスに注目することが極めて有効になる。

  • システミック・レジリエンス
  • リスクと恩恵をどう判断するか
  • 吸収、適応、変革
  • レジリエンスの台頭
  • レジリエンスを強化するには
  • リスク管理の方法

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