プーチンの心理と世界観
―― ロシアの核使用リスクを考える
Putin and the Psychology of Nuclear Brinksmanship: The War in Ukraine Hinges on One Man’s Thoughts and Feelings
2023年7月号掲載論文
戦場での大敗も経済制裁も、プーチンに迷いを生じさせることはない。ウクライナの降伏を手に入れない限り、彼が和平に応じることはないだろう。「流れは自分の側にあり、現在の消耗戦が長引けば、ウクライナ軍とウクライナ支援国が疲弊してくる」という読みに賭けているのかもしれない。だが、権力を維持することを重視する彼のナルシズムゆえに、時間枠が限られてくるかもしれない。軍の将軍や傭兵の指導者が内紛を続けるなか、彼は戦争を早く終わらせるためにもっと大きなリスクを引き受けるかもしれない。認知バイアスとプーチンに特徴的ないくつかの心理的傾向からみて、追い込まれたと感じれば、彼は非常に危険な事態を作り出すかもしれない。戦争の歴史で裏付けられた心理学の理論とエビデンスは、欧米諸国が核攻撃の高いリスクを想定して備えるべきことを示唆している。
- 核使用の心理学
- 核使用恫喝策
- 卓越効果
- 認知バイアス
- 致命的なトレードオフ
- 粗野で獰猛な指導者
- 最善を尽くし、最悪に備える
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