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多極世界という神話
―― 多極構造でも二極構造でもない世界

スティーブン・G・ブルックス ダートマスカレッジ教授(政治学)
ウィリアム・C・ウォルフォース ダートマスカレッジ教授(政治学)

The Myth of Multipolarity: American Power’s Staying Power

Stephen G. Brooks ダートマスカレッジ教授(政治学) 専門はアメリカ外交。
William C. Wohlforth ダートマスカレッジ教授(政治学)。

2023年6月号掲載論文

米中が二大国であることは間違いないが、多極構造を成立させるには、ほぼパワー面で互角の大国が、少なくとも、もう一つ存在しなければならない。だが、フランス、ドイツ、インド、日本、ロシア、イギリスなど、3位に入る可能性のある国は、いずれも米中と互角のパワーをもつ国とは言えない。中ロ関係がアップグレードされても、この二カ国は地域的軍事大国に過ぎない。地域的なバランシングが可能な二つの大国が一緒になっても、グローバルなバランシングはできない。そのためには、ロシアと中国がともにもっていない、そして、すぐにはもつことができない軍事力が必要になる。現状は、部分的ながらも、依然としてアメリカの一極支配構造にある。

  • 多極構造でも二極構造でもない
  • 多極世界という幻想
  • 米中二極体制?
  • 部分的な一極支配構造
  • リビジョニズムを妨げる障害
  • アメリカの選択

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