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権力者の盲点
―― プーチンは何を見誤ったのか

ヌゲール・ウッズ オックスフォード大学教授(グローバル経済ガバナンス)

What the Mighty Miss: The Blind Spots of Power

Ngaire Woods オックスフォード大学教授(グローバル経済ガバナンス)、同大学ブラヴァトニク行政大学院初代学部長。

2022年9月号掲載論文

ロシアのウクライナ侵攻は権力が作り出す落とし穴の多くを裏付けている。プーチンは、ロシア軍の戦闘能力を過大評価する一方でウクライナ軍のそれを過小評価し、一部の側近が簡単に勝利できると断言し、現実には消耗戦と化した戦争に国を突入させてしまった。失敗の一因は、権力者のもう一つの落とし穴である「相談や批判を受け入れないこと」にも促されている。プーチンの失敗は彼特有のものではないし、単に独裁者の悪癖の結果でもない。民主主義国家を含むあらゆるパワフルな国家の指導者が、権力に幻惑され、不用意な決断を下すことがある。側近集団の助言、議会や世論など、権力者の判断ミスを避けるための抑制メカニズムはある。だが、これらを指導者が支配するか、無視できる環境にあれば、自分が服を着ているかどうかさえも分からなくなる。

  • プーチンの誤算
  • 権力と特権意識
  • 国際法と国際関係
  • 権力者の愚行
  • 孤独な権力者
  • 国際協力の価値

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