デジタル秩序の確立へ
―― サイバー・アナーキーを終わらせるには
The End of Cyber-Anarchy? How to Build a New Digital Order
2022年2月号掲載論文
ルールを作っても、サイバー空間では、それが順守されているかが検証できないために、「サイバー空間における国家の責任ある行動ルール」の確立など、夢物語でしかないと考える人もいる。だが、ルールがあれば、他国の責任を問う行動に向けた基準が生まれる。現実には、サイバー攻撃を抑止するのは市中犯罪を抑止することに似ている。警察が試みているように、犯罪の根絶は無理でも、それを一定限度以内に抑えることを目的にすべきだ。一方で、病院や医療システムなど、特定のターゲットに対するサイバー兵器の使用はすでにタブー視されつつあるし、ハッカーが電気自動車の死亡事故を増加させるようなら、その行為もタブー視されるようになるだろう。サイバー攻撃のターゲットが増え続けている以上、われわれは抑止力と外交を組み合わせた戦略を模索することで、この危険な新世界のガードレールを強化していく必要がある。
- 抑止力と外交
- サイバー空間の抑止とは
- ルール設定の試み
- タブーの形成
- 規範はどのように形作られるか
- サイバールールの弊害
- 行動を変化させるには
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