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経済制裁依存症は何を物語る
―― アメリカの衰退、外交的影響力の低下

ダニエル・W・ドレズナー  タフツ大学フレッチャースクール 教授(国際政治)

The United States of Sanctions The Use and Abuse of Economic Coercion

Daniel W. Drezner アメリカの政治学者。タフツ大学フレッチャー法律外交大学院 教授(国際政治)。これまでにフォーリン・アフェアーズ誌で「今回ばかりは違う―― 米外交の復活はあり得ない」(2019年5月)、(「外国へのアウトソーシングと雇用」(2004年6月号)などを発表している。著書にThe Ideas Industry: How Pessimists, Partisans, and Plutocrats are Transforming the Marketplace of Ideas, Oxford University Press, 2017(『思想的リーダーが世論を動かす』パンローリング、2018年。佐々木俊尚監修、 井上大剛・藤島みさ子訳)などがある。

2021年10月号掲載論文

経済制裁によって相手国がワシントンの意に沿って行動するようになるのなら、経済制裁に依存するのも無理はない。だが、実際にはそうではない。制裁の効果をもっとも前向きに評価した分析でも、制裁が譲歩につながるのはせいぜい3分の1から2分の1程度だ。ワシントンが制裁に固執するのは、その効果とはほとんど関係なく、実際には、アメリカの衰退が最大の要因だ。もはや無敵の大国ではなく、広く世界に影響力を行使する力はない。アメリカの軍事力と外交的影響力は相対的に縮小している。制裁は、管理された環境で効果を発揮する特別な手段で、日常的に使用できる万能ツールではない。制裁は手術用のメスであり、スイス・アーミー・ナイフのように扱うべきではない。

  • 万能のツール
  • 経済制裁の歴史
  • 制裁の失敗
  • なぜ安易に制裁が発動されるか
  • 悪しき習慣を断ち切るには
  • より優れた方法

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