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資本主義後の社会経済システム?
―― ピケティ提言の問題点

アルビンド・サブラマニアン 前インド政府首席経済顧問

After Capital A Radical Agenda to Tame Inequality

Arvind Subramanian インド政府の前首席経済顧問。IMFのアシスタントディレクター、ピーターソン国際経済研究所を歴任している。現在は、ハーバード大学ケネディスクール公共政策担当客員講師。 フォーリン・アフェアーズでは、「経済覇権はアメリカから中国へ ――21世紀に再現されるスエズ危機」(2011年10月号)を発表している。

2020年9月号掲載論文

トマ・ピケティは、伝統的な資本主義に代わる想像力に富む急進的な代替案を提言している。すべての市民は25歳に達すると、社会の平均的な富の約60%に相当する資本を与えられる。その財源は「富、所得、相続に対する累進課税」によって賄われる。資金を得た若者は、「住宅を買ったり、事業を始めたり」と、新しい人生をスタートさせる。こうすれば、富裕層の過剰な貯蓄は、生きている間も死後も国によって課税されるために、資本は社会的に循環する。問題は、ピケティが提唱する大規模な再分配策を実施すれば、インセンティブ、起業家精神、資本蓄積に大きなダメージが生じるため、再分配のためのパイがほとんど残らなくなることだ。さらに、先進国で格差が拡大した暗黒時代が、中国やインドを含む新興国にとっては黄金時代だったことも見落とされている。非欧米世界における富の増大が、まさに先進国における格差の急激な拡大をもたらしたのと同じ要因に派生していることもピケティは無視している。・・・・

  • 政治が格差をもたらす
  • 革命の限界
  • 格差是正策
  • 人種問題とアイデンティティ
  • 世界全体でみると

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