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ワクチンナショナリズムを回避せよ
―― パンデミックを終わらせる国際協調を

トマス・J・ボリキー  米外交問題評議会 シニアフェロー(グローバルヘルス担当)
チャド・P・ボウン  ピーターソン国際経済研究所 シニアフェロー

The Tragedy of Vaccine Nationalism Only Cooperation Can End the Pandemic

Thomas J. Bollyky 外交問題評議会シニアフェローで、グローバルヘルスプログラムのディレクター。フォーリン・アフェアーズでは、「感染症が暴き出す政治システムの正体―― パンデミックの本当の教訓」(2020年5月号)、公衆衛生の改善と社会・経済の進化 ―― 途上国における感染症対策成功のジレンマ(2019年1月号)などを発表している。 Chad P. Bown ピーターソン国際経済研究所シニアフェロー。フォーリン・アフェアーズでは、「パンデミックと保護主義の台頭 ―― 輸入からの保護と輸出保護主義」(2020年6月号)などを発表している。

2020年9月号掲載論文

開発中の新型コロナウイルスのワクチン候補は160に達し、すでに治験に進んでいるものも21ある。開発国を含む富裕国は、早い段階でワクチンを入手しようとすでに競い合っている。各国の目的は、他の地域でのCOVID19の感染拡大を抑えることではなく、自国市民へのワクチン供給を優先することにある。このような「ワクチンナショナリズム」は、広い範囲で深刻な帰結をもたらす。有効性が確認された最初のワクチンが出現する日が近づいているだけに、グローバルレベルでの公平な分配をめぐる執行可能なシステムを準備する時間はなくなりつつある。先ず短期的な国際合意をまとめる必要があるだろう。国内における重要な公衆衛生上の目的を達成するための目安、つまり、医療関係者などを含めて、ワクチンをどのような職種の人にどの程度接種すべきかについての信頼できる研究があれば、国内人口のすべてにワクチンで免疫をつけさせるという考えを政治家が先送りし、他国とワクチンを共有することに前向きになれるかもしれない。

  • ワクチンと自国第一主義
  • ワクチン開発の勝者と敗者
  • ナショナリズム
  • ワクチン供給の国際合意を
  • ワクチンとサプライチェーン
  • 取り残されることへの恐れ

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