米経済の復活とコロナショック
―― 経済覇権の米中逆転はあり得ない
The Comeback Nation U.S. Economic Supremacy Has Repeatedly Proved Declinists Wrong
2020年6月号掲載論文
多くの人は、米経済が2010年に復活を遂げ、この10年にわたって黄金時代を謳歌していたことを見落とし、アメリカ衰退論に囚われている。パンデミックショックが本格的な金融危機を引き起こせば、問題を抱える企業が世界中で債務不履行に陥り、最終的にはアメリカ金融帝国にとっても脅威となるだろう。しかし、巨大な公的債務だけでなく、ゾンビ企業が企業債務の10%を占める現在の中国は、そうした危機に対してアメリカ以上に大きな脆弱性をもっている。結局、経済成長にとってもっとも重要なのは生産年齢人口であり、アメリカではこれが依然として増大しているのに対して、中国では5年前から減少に転じている。アメリカが世界最大の経済大国の地位を失うことも、米中逆転も当面あり得ない。
- 金融危機からの完全復活
- 2010年代の黄金期
- 揺るがないドルの覇権
- 楽観の時代へ
- 財政赤字と債務の拡大
- 米中逆転はあり得ない
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