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石油の崩壊
―― パンデミックと価格戦争が招いた悪夢

ダニエル・ヤーギン IHSマークイット副会長

The Oil Collapse A Pandemic and a Price War Have Together Brought Energy Markets to a Crisis

Daniel Yergin IHSマークイット副会長。著書『石油の世紀―支配者たちの興亡』でピュリッツァー賞を受賞。新著The New Map: Energy, Climate, and the Clash of Nationsが9月に出版予定。

2020年5月号掲載論文

パンデミックで世界経済のかなりの部分が停止状態に追い込まれている。石油(価格と需要の)危機は当面悪化し続け、その余波は石油産業を大きく超えた領域にも波及するだろう。需要減で原油価格が下がり、しかも各国の戦略備蓄が満杯になれば、世界の石油生産量はさらに激減する。備蓄と市場が飽和状態になれば、1バレル当たりの価格はゼロになる。これは、新型コロナがさまざまな国の経済を混乱に陥れた結果でもあるし、一部の国がとった地政学的決断の結果でもあるかもしれない。多くの産業と同じように、石油市場を極端に悪化させているのは、新型コロナのパンデミックだが、石油の場合、その悪化には地政学的な要素も作用している。サウジとロシアの協調で市場の安定を維持しようとしたOPECプラス崩壊のインパクトはかなり大きい。

  • 原油価格がゼロになる?
  • コロナウイルスと石油
  • OPECプラスの崩壊
  • もう生産できない
  • 圧倒された市場

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