ポストアメリカの世界経済
―― リーダーなき秩序の混乱は何を引き起こすか
The Post-American World Economy: Globalization in the Trump Era
2018年3月号掲載論文
ドナルド・トランプは、アメリカが築き上げたグローバルな経済秩序に背を向け、経済と国家安全保障の垣根を取り払い、国際的ルールの順守と履行ではなく、二国間で相手を締め付ける路線への明確なコミットメントを示している。世界貿易機関(WTO)の権威を貶め、いまや、主要同盟諸国でさえ、アメリカ抜きの自由貿易合意や投資協定を模索している。すでに各国は貿易やサプライチェーンの流れ、ビジネス関係を変化させつつある。経済政策の政治化が進み、経済領域の対立が軍事対立にエスカレートする危険も高まっている。アメリカが経済秩序から今後も遠ざかったままであれば、世界経済の成長は鈍化し、その先行きは不透明化する。その結果生じる混乱によって、世界の人々の経済的繁栄は、これまでと比べ、政治略奪や紛争に翻弄されることになるだろう。
- 揺らぎ始めた戦後経済秩序
- ルールを基盤とする秩序
- グローバルな公共財
- 本当にそれを意図しているのか
- 近隣窮乏化政策
- 経済の政治化
- 変化する貿易の流れ
- われわれが構築した秩序
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