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米欧中関係のパワーシフト
―― 欧中新時代の到来か

ニコラ・カサリーニ 国際関係研究所ディレクター(アジア担当)

A New Era for EU-China Relations? How They are Forging Ahead without the United States

Nicola Casarini ローマにある国際関係研究所(CIAI)のアジア担当ディレクターで、ジュネーブにある国際・開発研究大学院の客員教授。

2017年8月号掲載論文

イギリスは、これまでヨーロッパを大西洋同盟の枠内に着実につなぎ止めようと試みてきた。そうすることがさほど難しくなかったのは、アメリカもまたヨーロッパとの同盟関係の維持を望んでいたからだ。しかし、そのような米欧関係の構図もイギリスが欧州連合(EU)を去り、トランプの言動がヨーロッパを離叛させるなか、形骸化しつつある。この環境では、ヨーロッパにとって、アメリカの優位を脅かす恐れのあるほぼすべての課題をめぐって中国との関係を強化していくことが合理的になる。しかし、ここで選択を間違うのは危険だろう。欧中同盟が形成されるとしても、それは強固な絆というより、むしろ、ブレグジットの余波と欧中が共有するトランプに対する反感が引き起こす政略結婚のようなものだからだ。しかし、ほんの数ヵ月前までは考えられなかった新しい中国とEUの関係が生まれようとしている。・・・

  • 欧中接近
  • 人民元とユーロ
  • 貿易と相互主義の問題
  • 米欧中関係のバランスシフト

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