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トランプ時代のアジア
―― アジアを犠牲にした米中合意はあり得ない

ビラハリ・コーシカン シンガポール外務省無任所大使

ASIA IN THE TRUMP ERA
―― From Pivot to Peril?

Bilahari Kausikan シンガポール外務省無任所大使。シンガポールの国連大使、駐ロシア大使、外務次官を経て、現職。

2017年5月号掲載論文

北京の高官の一部は、中国を頂点とする地域的ヒエラルヒーを再建して伝統的な中華秩序を再現することを望んでいるようだ。そのためには、アジアからワシントンの影響力を取り除き、その空白を中国自身が埋めなくてはならない。だがこの場合、アメリカとの同盟関係が頼りにならないと判断した日本が核武装する可能性は十分にある。日本が核兵器を獲得すれば、韓国、そして台湾もそれに続く強いインセンティブをもつようになる。中国はそのような事態は何としても避けたいはずだ。こう考えると、アジア秩序が中華秩序に置き換えられていくことも、アジアを互いの影響圏に二分するような大掛かりな米中合意が結ばれる可能性も低い。最終的に、アジアはかつて変化に直面したのと同じように「適応」を通じてトランプ政権に対応していくことになるだろう。

  • トランプVS.超党派コンセンサス
  • 米アジア外交の要諦
  • 新たな再生
  • ピボット2・0
  • トランプと中国

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